集積回路市場、ファウンドリーを除く米国のシェア率は54%、米調査会社

(米国)

米州課

2022年04月15日

米国調査会社のICインサイツは4月13日、世界の半導体市場におけるIC(集積回路)ユニットの出荷量が2022年に前年比9.2%増の4,227億ユニットに上るとの見通しを発表した。「新型コロナ禍」から経済的に回復し始めた2021年の出荷量は前年比22%増の3,918億ユニットだったことから、ここ数年の急成長がみてとれる。

また、同社が4月5日に発表した報告によると、2021年のIC市場における米国のシェアは54%(前年55%)となった。ただし、本データには、台湾積体電路製造(TSMC)などが主要企業の、受託製造のみを行うファウンドリー市場は含まれておらず、それらは委託元のIDMやファブレスの売上高として計上されている。インテルをはじめとする米国企業は、設計から製造、生産まで自社で行う垂直統合型デバイスメーカー(IDM)の市場で47%、製造工場を構えず開発や設計、マーケティングを主業務とするファブレス市場で68%のシェア率を獲得し、存在感を示した。韓国企業が22%(IDM33%、ファブレス1%)、台湾企業が9%(IDM3%、ファブレス9%)で続いている。日本企業は6%(IDM8%、ファブレス1%)となり、1990年時点のシェア49%から大きく低下していることが分かる。韓国企業も、サムスン電子などが含まれるIDM市場で強さをみせているが、ファブレス市場ではシェアを獲得できていない。

米国のジョー・バイデン大統領は、3月1日の一般教書演説の中で、2021年度国防授権法の一部として既に成立している、半導体製造支援の枠組み(CHIPS for America Act)に提供する520億ドルの補助金予算を含む、競争力法案の早期可決を求めている(2022年3月3日記事参照)。本法案の可決に向けては、4月7日に各院で可決した法案の相違点を調整するための両院合同委員会に参加する議員が発表されたところだ(2022年4月11日記事参照)。ICインサイツは「米国が全体として最もバランスがとれている」と評価しているが、各国が自国の産業育成を強化する中、引き続き激しいシェア獲得争いが続く。

(片岡一生)

(米国)

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