FAOの3月の食料価格指数、過去最高を更新

(世界)

国際経済課

2022年04月11日

国連食糧農業機関(FAO)は4月8日、3月のFAO食料価格指数(FFPI、2014~2016年=100)が159.3と、2カ月連続で過去最高値を更新したと発表(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。FAOは3月の価格指数の上昇について、黒海地域での紛争が主要穀物と植物油の市場に影響を与えた、とした。

FFPIは、国際農産物市場の動向を監視するための価格指数で、肉類、穀類、植物油、乳製品、砂糖の5つのグループの価格指数から算出される。グループ別にみると、植物油の3月(248.6)の価格指数は2月水準(201.7)から46.9ポイント上昇し、3カ月連続で過去最高値を更新した。FAOは3月の指数急上昇について、「黒海地域で進行中の紛争の中で輸出が減少したことにより、3月のヒマワリ油の国際相場は大幅に上昇した」としたうえで、「ヒマワリ油の供給が混乱したため、世界的な輸入需要の高まりに支えられ、パーム油、大豆油、菜種油の価格も著しく上昇した」と分析した。

穀類の3月の価格指数は170.1で、2008年3月に記録した163.3を上回り、1990年以降で過去最高値を記録した。FAOは、ウクライナやロシアからの輸出が混乱していることから、小麦と粗粒穀物の国際価格が急騰したと説明した。

なお、FFPIの発表日には、穀物の需給見通しも併せて公表した。2022年の小麦の生産量を3月に発表した見通し(7億9,000万トン)から7億8,400万トンに下方修正した。投入資材や農地へのアクセスへの乱れが農作業の適時性を阻害することから、ウクライナの小麦生産量が減少するとした。

また、2021~2022年の穀物世界貿易を、3月の見通しから1,460万トン引き下げ、4億6,900万トンとした。ウクライナとロシアの小麦とトウモロコシの輸出減少、さらには複数の国での輸入減少などを反映した。記録的な高値に加え、世界的な供給力の低下が、輸入にも影響を及ぼすとみる。

(朝倉啓介)

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