山東省、新型コロナ感染者数が減少も、予断を許さない状況

(中国)

青島発

2022年04月11日

中国・山東省内では、3月初旬から中旬にかけて新型コロナウイルス感染が拡大した。山東省衛生健康委員会によると、3月19日には1日の新規感染者数が48人、新規無症状感染者が380人となり、1日当たりの新規の感染者および無症状感染者の合計が3月4日以降の最多を記録したが、その後、感染者数は減少傾向にある(注1)。4月10日における山東省内の新規感染者数は2人(済南市1人、青島市1人)、新規無症状感染者数13人となっている。なお、青島市内の県級市である莱西(らいせい)市で集団感染が確認された3月4日から4月10日までの、省内における累計感染者数は1,402人、無症状感染者数は3,917人となった。

感染者は減少傾向にあるものの、山東省は引き続き、厳格な感染防止措置を採用している。山東省政府の発表によると、4月2日時点で、省外から省内に入るためには48時間以内のPCR検査陰性証明を提示のうえ、到着1日目と3日目に計2回のPCR検査が必要となる。また、山東省内の移動においても制限が生じている。ジェトロが4月8日に、済南市、煙台市の新型コロナウイルス対策の問い合わせ窓口に、省内での移動に関する措置を確認したところ、(1)青島市から済南市へ移動する場合、48時間以内PCR検査陰性証明の提示、事前に到着地の社区(注2)へ連絡、(2)青島市から煙台市に移動する場合、(1)に加えて到着後に2回目のPCR検査が必要になるとのことだった。

ただし、同じ市内であっても、その下に属する区や社区によって対応が異なる可能性があるため、事前に到着地の社区に確認をする必要がある。

感染防止措置は、物流にも大きな影響を与えている。山東省は3月26日付の通達で、海外から省内の港湾、空港、鉄道駅に到着した非コールドチェーン貨物については消毒を徹底するとともに、貨物に対するPCR検査の実施を義務付けた。さらに、到着後10日間は指定の保管場所(主には到着した港湾や空港など)に留め置いたうえでPCR検査を実施し、陰性を確認したうえで輸送が許可されるとしている(同措置は4月10日から実施、4月10日以前にも同措置の一部内容は実施されていた)。

また、山東省政府は感染防止措置の一環として、既存の「健康コード」に加えて、4月3日からの「場所コード」の導入を発表した。省政府が、重点地域(地下鉄、ホテル、レストラン、観光地など)に「場所コード」をスキャンするためのQRコードを設置し、利用者がスマートフォンを使用し、そのQRコードをスキャンすることとされている。政府は、この「場所コード」の導入を通じ、重点地域の利用者の情報を収集するとともに、感染が発生した場合に、より厳密に追跡することを目指している。「場所コード」は現在、青島市内の一部地域や、済南遥墻国際空港などに設置されており、今後、省内で利用が広がると見込まれる。

写真 場所コードをスキャンすると、位置情報と健康コードが表示される(ジェトロ撮影)

場所コードをスキャンすると、位置情報と健康コードが表示される(ジェトロ撮影)

青島市内では、4月10日時点で、飲食店の店内営業が再開されており、(感染拡大時に一時中断されていた)ワクチン接種も再開されているなど、市民生活は既に感染拡大以前の状況に戻りつつある。その一方、4月7日には、ジェトロの青島事務所の位置する青島市市南区において、同区内の住民を対象に7回目となるPCR一斉検査が実施されるなど、防疫措置を継続している。4月10日時点でも省都の済南市および青島市で少数ながら新規感染者が発生していることもあり、山東省全体としては引き続き予断を許さない状況が続いている。

(注1)海外から渡航してきた感染者は含まない人数。なお、3月19日に、無症状感染者から感染者に診断が変更された者は3人。

(注2)中国民政部は、「一定地域の範囲内に住む人々によって構成される社会生活の共同体」と定義。都市部の最も基礎的な行政区画単位。

(西島和希)

(中国)

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