労働雇用促進省、4年ぶりに法定最低賃金を改定

(ペルー)

リマ発

2022年04月05日

ペルー労働雇用促進省(MTPE)は4月3日、2018年4月から改定していなかった最低生活賃金(RMV)を2022年5月1日以降、現行の月額930ソル(約3万1,248円、1ソル=約33.6円)から月額1,025ソルに増額することを定めた大統領令第003-2022-TR号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布した。RMVの改定は従来ならば、国家労働雇用促進委員会(CNTPE)(注)で各参加団体間の調整を経て実施されるが、今回の改定についてはCNTPEでの調整がつかず、最終的にMTPEが定める4基準の「GDP成長率」「失業率」「非正規雇用率」「RMVと平均収入格差」を基に決定したという。

改定について、労働組合側のペルー労働者総連合(CGTP)のヘスス・デル・カスティージョ・リベラ委員長は「充分でない」としている。一方、産業界からは、ペルー工業協会(SNI)のリカルド・マルケス会長はRMV改定の必要性を認識しつつも、「社会対話を除いて政府が一方的に決めることは許されない」とコメントしている。ペルー小規模企業組合協会(PYME PERÚ)のアナ・マリア・チョケウアンカ会長も「問題は金額でなく、経営者側の支払い能力だ」と、それぞれ懸念を示しており、MTPEによる一方的な決定だったことがうかがえる。

中央準備銀行(BCRP)のフリオ・ベラルデ総裁も、RMV改定については慎重論を展開しており、非正規労働が75%を占めるペルーで同措置の効果を疑問視している。ベラルデ総裁は「RMV改定を政治的な目的に利用してはならない」として、労働者寄りの政府の姿勢を牽制した。

(注)労働雇用促進相を委員長として、労働者側からペルー労働者総連合(CGTP)、ペルー中央統一労働組合(CUT)、ペルー労働者連合(CTP)、ペルー労働組合自治連合(CATP)、産業界からはペルー銀行協会(ASBANC)、ペルー鉱業石油エネルギー協会(SNMPE)、ペルー建設業商工会議所(CAPECO)、ペルー貿易業協会(COMEX PERÚ)、ペルー全国漁業組合(SNP)、ペルー工業協会(SNI)、リマ商工会議所(CCL)、ペルー輸出業協会(ADEX)、ペルー中小企業協会(APEMIPE)、ペルー小規模企業集合体(CPEP)が参加。その他の7団体も参加。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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