外貨預金準備率を5月から1ポイント引き下げ、人民元レート下落抑制を目指す

(中国)

北京発

2022年04月28日

中国人民銀行(中央銀行)は4月25日、金融機関の外貨預金準備率を現在の9%から1ポイント引き下げ8%にすると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。5月15日から実施される。外貨預金準備金は金融機関が受け入れる外貨預金のうち、規定の比率を中国人民銀行に預け入れるもの。外貨預金準備率は近年では2021年6月15日、12月15日にそれぞれ2ポイントずつ引き上げられていた。引き下げは現行の制度開始以来、初とされる(「中国経済網」4月26日)。

今回の引き下げは直近の人民元の為替レート下落を受けたものとみられる。植信投資研究院の常冉高級研究員は、中国の3月末時点の外貨預金総額は1兆500億ドルで、1ポイントの引き下げで約105億ドルの外貨流動性が確保され「ここ数日の人民元の下落傾向の抑制につながる」としている(「中国銀行保険報」4月27日)。

また、市場の見方として、今回の引き下げ水準は適度なもので、市場に対して政策シグナルを送ると同時に、過度な影響を与えることはなく、今後にも十分な政策余地を残すものとの意見が紹介されている(「中国産業経済信息網」4月27日)。4月25日の引き下げ発表後、同日の人民元の対ドル・レートはオンショア、オフショアともに上昇したと報じられている(「証券日報」4月26日)。

なお、4月27日付「銭江晩報」では、足元の人民元レート下落について、(1)米国のインフレ率が高まっていること、(2)米中の金利差が縮小していること、(3)ウクライナ情勢がエスカレートし、世界の金融市場の不確実性が高まっていることを挙げている。

(河野円洋)

(中国)

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