非医療用マスク、2023年から認証取得を義務化

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年04月12日

マレーシアでは2023年1月以降、非医療用マスクの製造業者や輸入業者は、同国の認証機関であるSIRIM QAS International外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)による「MS SIRIM認証」を取得する必要がある。国内取引・消費者省が4月5日に公表し、その後7日に実施時期を2022年7月から2023年1月へ後ろ倒しした。根拠法令は、2011年商品表示法に基づく「2022年非医療用フェイスマスクの商品表示(認証・標示)令PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(2022年4月5日官報に公示、注2)で、国内製造品および輸入品ともに、非医療用マスクを規定の品質基準に適合させることを求めている。2012年医療機器法(法令737号)の下で登録される医療用マスクを除き、一般に広く使用されるフェイスマスクは、再利用可能品も含め「非医療用マスク」と見なされる。

同省は、「MS SIRIM認証は箱やパッケージの上など、消費者が簡単に視認できるように貼付する必要がある。ラベルがあれば、当該マスクが基準を満たしており、品質や安全性に問題のないことが判別できる」とコメント。上記の商品表示令によれば、MS SIRIM認証マークおよび製品ごとの認証基準情報を製品に記載する必要がある。政府は、メーカーや輸入者が基準を順守することにより、国内市場における粗悪なマスクの流通を防止したい考え。品質基準を満たさないマスクは、フィルタリング機能が不十分で、製品としての効果を発揮しないリスクがあるためだ。

義務に違反した企業に対しては、最高20万リンギ(約580万円、1リンギ=約29円)の罰金刑が科される。個人に対しては、最高10万リンギの罰金刑または最長3年の禁錮刑、もしくはその両方が科される可能性がある。認証取得に関しては、SIRIM QAS Internationalのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで手順や照会先を参照できる。

現地報道によれば、医療関係の専門家は今回の公示を受け、品質基準が確保される観点からおおむねこれを歓迎している。他方で、マスクはマレーシア国内で原則として着用が義務付けられる(2022年4月5日記事参照)必需品であることから、認証取得によるコスト増が市場価格に波及しないことが望まれている。こうした関係者の声や、一般消費者による価格上昇への懸念に対応するかたちで、政府は本件発表(4月5日)直後に実施時期を延期するに至った。アレクサンダー・リンギ国内取引・消費者相は、本認証の導入によりマスク価格が上昇することはないと強調している。

(注1)マレーシア工業技術研究所(SIRIM)傘下の認証・検査・試験機関。

(注2)本表示令上では、実施日は当初発表の「2022年7月4日」のままとなっている(4月11日現在)。

(吾郷伊都子、エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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