上海の都市封鎖の長期化で米港湾が再び混乱する恐れ、全米小売業協会見通し

(米国、中国)

ニューヨーク発

2022年04月11日

新型コロナウイルスの影響下で、物流の混乱は依然として解決せず、長期化しているが、全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツの発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(4月7日)によると、米国の小売製品の主要輸入港(注)では、過去数カ月間にみられた貨物の滞留が解消し始めているという。しかし、感染が拡大している中国・上海で都市封鎖が長引いていることから、上海で通常操業が再開すれば、今夏には米国の輸入コンテナ量は再び急増する可能性があると見込まれている。

発表によると、直近2月の米国小売業者向けの輸入コンテナ量は前年同月比13%増の211万TEU(1TEUは20フィートの長さの貨物コンテナの換算)となった。ハケット・アソシエイツによると、アジアの一部の工場が旧正月の休暇で閉鎖されたにもかかわらず、2月のコンテナ量が高い伸びとなったのは、米国の港湾が既に停泊待ちの船の貨物を処理しているためとしている。また、上海の新型コロナウイルス感染拡大による封鎖が長引いていることで、中国から出港する船舶が減少しており、ロサンゼルス地域のターミナルへ到着する船舶も減少している。今後、中国の通常操業再開に伴う米国向け船舶の増加は、米国の港湾の混雑を再び引き起こす可能性があることを指摘した。

上海は物流の世界的な重要拠点で、都市封鎖が今後のサプライチェーンに深刻な打撃を及ぼす恐れがある。上海での封鎖は4月8日時点で12日間にわたって続いており、既に混雑していた港湾では大幅な遅延が生じている。世界の海運データを提供するベッセルズバリュー(VesselsValue)によると、上海港で入港を待つ船は3月下旬時点で300隻以上に急増し、直近2週間半で5倍近くに増えたという。同港は世界最大のコンテナ取扱量を誇り、2021年におけるコンテナ取扱量はロサンゼルス港の4倍を上回っている(CNN4月1日)。

なお、2022年上半期における米国の小売製品主要輸入港の輸入コンテナ量は、前年同期比2.5%増の1,310万TEUとなる見込みだ。2021年通年の輸入量は2,580万TEUで、2020年のこれまでの年間記録2,200万TEUを17.4%上回った。

(注)主要輸入港には、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトル、タコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミ、ジャクソンビル、ガルフ海岸のヒューストンの各港が含まれる。

(樫葉さくら)

(米国、中国)

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