トルコのアグリ・フィンテック企業タルフィン、ルーマニアに進出

(ルーマニア、トルコ)

ブカレスト発

2022年04月21日

トルコ・イスタンブール発のアグリ・フィンテック・スタートアップのタルフィン(Tarfin)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますがルーマニアに進出すると、4月11日付「ナインオクロック」紙が報じた。同社は2017年創業で、EFSE(The European Fund for Southeast Europe外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、注1)が2016年12月に開催したフィンテックコンペで1位を獲得PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)するなど多くの受賞歴がある。スタートアップなどのデータベースのクランチベースによると、現時点ではシリーズA(注2)、資金調達総額は1,430万ドルに達している。

EU統計局(ユーロスタット)によると、2018年のルーマニアの穀物生産量は3,189万トンと、欧州で3番目に多い。農業・農村開発省(MADR)によると、2021年上半期の穀物収穫量は過去最高の1,500万トンに上ったが、エネルギー価格高騰が肥料価格を押し上げ、農業経営を圧迫している(「ナインオクロック」紙4月11日)。

タルフィンは、人工知能(AI)のマシンラーニング(機械学習)による農業リスク・スコアリングモデルを開発し、農家が肥料、種子、飼料など原材料を購入する際、できるだけ近距離、低価格のベンダーを選ぶことができ、支払いは収穫時に繰り延べできる金融機能を提供。取引1件はわずか4分で成立する

同紙によると、同社の創業者で最高経営責任者(CEO)のメーメット・メメカン(Mehmet Memecan)氏は、国際展開の第一歩としてルーマニアを選択したと述べた。4月11日時点でルーマニア中央銀行による承認待ちとなっている。

ロシアのウクライナ侵攻による食糧不足が危惧される中、ウクライナに隣接し、肥沃(ひよく)な土壌を有するルーマニアが、タルフィンのようなスタートアップの力で世界の食糧安全保障に貢献するポテンシャルを発揮することが期待される。

(注1)ドイツ復興金融公庫(KfW)が2005年に南・東欧の起業家支援のために発起したファンド

(注2)スタートアップの資金調達段階は、一般的に以下のように分類される。シード:創業前の段階。シリーズA:商品のプロトタイプを作成し、ビジネスモデルを確立する段階。シリーズB:事業が軌道に乗り始め、収益が出始める段階。シリーズC:経営が安定する段階。

(西澤成世)

(ルーマニア、トルコ)

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