スウェーデンとノルウェー、CCS分野で協力強化に合意

(スウェーデン、ノルウェー)

ロンドン発

2022年04月18日

スウェーデンのマグダレーナ・アンデション首相とノルウェーのヨナス・ガール・ストーレ首相は4月5日、ストックホルムで会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。ノルウェーの大陸棚への恒久的な二酸化炭素(CO2)貯留に向けて両国企業が協力できるよう、CO2の輸出入に関する協定を可及的速やかに締結することで合意した。両国はさらに北海諸国の温室効果ガス排出削減に向け技術開発やエネルギーインフラ、グリーン移行の分野で協力を強化する意向を示した。

関心高まるCCS技術、政府による支援も

スウェーデンでは、CO2の回収・貯留(CCS)技術への関心が高まっており、同技術に関してはエネルギー庁が中心的な役割を果たす。また、同国はリバースオークション(注1)を通じてバイオCCS(注2)の運営支援を導入する予定で、2026年の貯留開始に向け、2022年末に最初のオークションを実施する予定。スウェーデンでは複数の事業者がCCS技術への参画候補となっており、ノルウェーのCO2貯蔵サービスを提供するコンソーシアム「ノーザンライツ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」とスウェーデンの企業数社が既に趣意書を締結している。

スウェーデン政府も、産業部門のゼロエミッションへの移行を支援する「グリーン・インダストリー・リープ」イニシアチブを通じ、CCS分野への投資支援を行うとしている。また、エネルギー企業のストックホルムエクセルギ(Stockholm Exergi)によるバイオCCSプロジェクトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)がEUイノベーション基金による支援を受けている。

ノルウェー政府も、2021年9月に議会で承認を得たCCS実証プロジェクト「ロングシッププロジェクト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に支援を行うとしている。2020年に議会に提出した白書で同プロジェクトの投資と10年間の運営費用の総額は251億ノルウェー・クローネ(約3,514億円、1ノルウェー・クローネ=約14円)と見積もられており、うち3分の2を政府が支援する。同プロジェクトは、北海に位置する大規模なCO2貯留エリアを生かし、欧州大陸から大量のCO2貯蔵を可能にする産業向けCCSプロジェクトとなっている。

(注1)買い手(政府)が仕様や条件などを提示した後、売り手(企業)が各自の価格を提示、その中で最も低い価格のものを選ぶ方法。

(注2)バイオ燃料由来で排出したCO2を回収・貯留する技術。

(島村英莉)

(スウェーデン、ノルウェー)

ビジネス短信 6263e2d200903e65