外国人労働者の入国、2カ月以内に約18万件を承認予定

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年04月20日

マレーシアでは、4月1日の新型コロナウイルス対策の大幅な水際規制緩和(国境再開)に伴い、外国人労働者の入国も開始する見込みだ。サラバナン・ムルガン人的資源相は4月12日、2万4,560件の外国人労働者の面接を4月末までに完了するとの見通しを示した。サラバナン人的資源相によると、今後6週間以内に5業種(建設業、プランテーション、農業、製造業、サービス業)で累計17 万9,451 件の申請が承認される見込みだ。

外国人労働者の雇用に関する申請は、外国人労働者集中管理システム「FWCMS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を通じて一元的に行われ、政府が審査に当たっている。人的資源省によると、2月15日の受け付け開始から4月7日までに51 万9,937 件の申請を受け付けたものの、うち29万937件はシステム上で未送信状態にあり、さらに約4万件は書類の不備などで却下された。

政府は当初、外国人労働者の入国を3月中にも再開する見通しを示していたが、プロセスが遅れている(2022年3月7日記事参照)。サラバナン人的資源相は遅れの要因として、申請手続きをポータルサイトに集約していることや、マレーシア人の雇用機会確保を図っているためだと説明している。

申請手続きの遅延やプロセスの詳細が不明な点は、日系企業も含め、産業界で大きな課題と認識されている。マレーシア製造業連盟(FMM)のソー・ティアンライ会長は4月5日の声明で「当局は申請手続きに関する分かりやすいガイドラインを示すべきだ」と主張(FMM声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。申請プロセスがオンライン化されたことは評価しつつも、雇用主が申請手順をよく理解できるよう、明確で透明性のあるプロセスを提示した上で、却下の理由も明示することが重要だと強調していた。

財務省は「経済展望2022」の中で、新型コロナウイルス感染の防止策として導入した外国人労働者受け入れ凍結が結果的に労働力不足を招き、GDP成長にもマイナスの影響を及ぼしたと分析している。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

ビジネス短信 5c3c57156ba745f2