中小企業中央会、原材料価格の急騰による中小企業の経営悪化の改善策を提言

(韓国)

ソウル発

2022年04月19日

韓国の中小企業中央会(以下、中央会)は4月11日、ロシアのウクライナ侵攻やグローバルサプライチェーンの混乱による原材料価格の急騰分を製品価格に転嫁できず、中小企業の経営が厳しさを増しているとして、韓国女性経済人協会、大韓専門建設協会、大韓機械設備建設協会など18団体とともに、記者会見を実施した。同会見で中央会は、「納品単価の適正化のための中小企業緊急実態調査」の結果を公表した。同調査は、「基幹」産業(金属熱処理、金型、鍛造、鋳造、プラスチック)、建設産業(生コン、コンクリート、建設器具)の中小企業を対象に、3月28~31日にアンケート方式で実施され、回答企業数は304社だった。

調査結果によると、中小企業の製品は、原価に占める原材料費の割合は58.6%と、製造原価が経営に与える影響が大きいことが判明した。原材料価格は2020年比で平均51.2%上昇し、原材料価格の高騰により経営状況が「非常に悪化した」と回答した企業の割合は75.2%に及んだ。

一方、原材料価格の上昇分の全てを製品価格に転嫁できた中小企業は4.6%にとどまり、全く転嫁できていないと回答した割合が49.2%に達した。原材料価格の上昇分を製品価格に転嫁できない場合、生産量の削減(41.9%)、雇用の削減(32.9%)、工場閉鎖(9.6%)などで対応する計画と回答した。

納品単価の適正化のために必要な政策としては、「原材料の価格変動分の納品単価への転嫁の義務化」と回答した企業が91.7%と最も高く、「政府による定期的な原材料価格上昇分の納品単価への転嫁の実態調査」(37.6%)、「業種別の民間共生協議体の組織・運営」(17.8%)、「不当な単価決定に対する罰則の強化」(13.9%)が続いた。

中央会は、調査結果を基に、深刻な中小企業の経営問題の解決のための出発点は、原材料費高騰分の適正な価格転嫁だとして、次期政権に対し、納品単価連動制の導入や大統領直属の委員会の設置を訴えた。

(当間正明)

(韓国)

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