国境再開に伴い、投資開発庁の短期ビジネス渡航プログラム廃止

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年04月05日

マレーシア投資開発庁(MIDA)は3月31日、ビジネス渡航者の短期出張を支援するために設立したワンストップセンター(OSC)を4月以降段階的に廃止すると発表した(MIDAプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。新型コロナウイルス感染を背景とした渡航規制により外国人の渡航が原則として禁止される中、OSCは2020年10月に設立され、国際貿易産業省や保健省と共同で運用してきた。

MIDAのアルハム・アブドル・ラーマン最高責任者(CEO)は、渡航規制によりマレーシアの競争力や投資可能性が損なわれないよう、「新型コロナ禍」にあってもビジネスへの開放を確保するため、OSCが設立されたと経緯を説明。OSCとクアラルンプール国際空港ビジネストラベラーセンター(BTC)では、計3,223社からの短期ビジネス渡航者の入国を許可し、この間に1,718億リンギ(約4兆9,822億円、1リンギ=約29円)の投資を誘致したと推計している。

日本企業もOSC下の短期出張システムを活用していたが、詳細な旅程表の事前提出にかかる負担や、14日間を上限とする出張期間の短さなどの課題も指摘されていた。他方で、2022年に入ってからは、マレーシア滞在中のリエゾンオフィサーの同行が廃止され、運用緩和も進んでいた。MIDAは上記リリースの中で「(新型コロナ禍にあっても)OSCにより投資家の渡航許可申請が迅速化され、マレーシアでの事業継続が可能となった。『安全を守りながら投資家を歓迎する』とのキャッチフレーズを掲げたこのイニシアチブは、海外投資プロジェクトの促進に寄与した」と振り返った。

マレーシアは4月1日からエンデミック(一定の季節や地域に流行する感染症)への移行期に入り、ビジネス出張を含む旅行者もワクチン接種を条件に隔離なしで入国が可能となった(2022年3月29日記事参照)。これにより、OSCプログラムの下で運用されていたセーフトラベルポータル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(4月1日時点でリンク先がMIDAのトップページに切り替わっており、国境再開を知らせるポップアップが表示される)を通じて入国許可や隔離免除の申請をする必要がなくなり、OSCは約1年半の活動に幕を閉じることとなる。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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