現代奴隷リスクへの対応で法制化の動き

(ニュージーランド)

シドニー発

2022年04月14日

ニュージーランド政府は4月8日、強制労働などの現代奴隷(modern slavery)や労働者の搾取にかかるリスクに対応するため、企業による報告やデューディリジェンスの実施を法制化する方針を発表した。英国やオーストラリアなどでは既に現代奴隷法が施行されており、ニュージーランドもサプライチェーンを含めた広い範囲で人権尊重に取り組む必要があるとしている。

政府は現代奴隷について「脅迫や暴力、または欺瞞(ぎまん)などによって人の自由を侵害する行為で、強制労働、借金による身柄の拘束、強制結婚、奴隷労働、人身売買などを含む」と定義している。また、労働者の搾取には、国内の重大な労働基準違反を含むとしている。

政府が公開したコンサルテーションペーパーによると、企業や個人事業主、政府機関、信託、パートナーシップ、NPOなど全ての事業体を対象に、国内外の事業やそのサプライチェーン上で現代奴隷や労働者の搾取が確認された場合、当局への報告やサプライヤーの変更など、適切に対処することを求める。また、事業体の親会社や持ち株会社などに対しては、国内での現代奴隷や労働者の搾取にかかるリスクを特定し、それらを防止、軽減、是正するための措置を講じるとともに、当該措置の有効性を評価することを求めるという。さらに、年間収益が2,000万ニュージーランド・ドル(約17億2,000万円、NZドル、1NZドル=約86円)以上の企業などに対しては、確認された現代奴隷や労働者の搾取への対応について、年次報告書の作成と公開が求められるほか、5,000万NZドル以上の企業などに対しては、国内だけでなく海外事業やサプライチェーンを含めたデューディリジェンスの実施が求められる。

コンサルテーションペーパーに対するパブリックコメントは、企業・技術革新・雇用省のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで6月7日まで受け付けている。

(住裕美)

(ニュージーランド)

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