IMF、資源輸出増を追い風に2022年の経済成長見通しを上方修正

(ブラジル、ウクライナ、ロシア、米国、中国)

サンパウロ発

2022年04月25日

IMFは4月19日付の「世界経済見通し」で、2022年のブラジルの経済成長率(実質GDP伸び率)を0.8%と発表した。

直近の2022年1月に発表した見通しは0.3%で、0.5ポイント上方修正された。上方修正の理由について、IMFのピエール・オリビエ・グランシャ経済顧問兼調査局長は同日の記者会見で「ブラジルは石油の輸出国であり、世界的な原油価格の上昇による恩恵を受けている」と説明した。

ブラジル経済省の貿易統計(COMEXSTAT)によると、2022年のブラジルの石油輸出額は前年同期比で約3.9倍だった(注1)。ペティア・コエバ・ブルックス調査局長代理も19日の記者会見で、コモディティー価格が世界的に高騰している影響を受けたと分析しつつ、「ブラジルは、ウクライナ・ロシア戦争との関りが極めて限定的」なことも上方修正の要因だと補足した。また、ブルックス氏は質疑応答で「次期大統領選挙による経済成長見通しへの影響」について問われ、「政治に関してコメントは行わないが、一般的に選挙に伴う将来の不確実性は経済成長へのポジティブ要因にはならない」と回答した。

2023年のブラジルの経済成長率(実質GDP伸び率)は、2022年1月発表時の1.6%から1.4%に0.2ポイント下方修正された。IMFはこの理由について、ブラジルは高まるインフレ圧力に対して金融引き締め策を継続しており(注2)、過去1年で9.75ポイント引き上げられた政策金利(Selic)は国内需要を圧迫すると説明した(注3)。2023年のインフレ率は、5.1%に達すると予測している。これは、中銀が設定したインフレ目標中央値3.25%(許容範囲は上下1.5ポイント)を上回る。

経済成長率を下方修正した理由としてIMFは、ブラジルを含む中南米・カリブ地域にとって重要な貿易相手国である米国と中国の経済成長率の見通しが下方修正された影響も考慮したと説明した。

(注1)HSコードは2710。輸出額はFOB価格。2022年第1四半期(1~3月)の輸出額は27億7,491万ドル、2021年第1四半期の輸出額は9億7,414万ドル。

(注2)ブラジル地理統計院(IBGE)によると、2022年3月時点の拡大消費者物価指数(IPCA)は過去12カ月の累計で11.30%。中央銀行が設定する2022年のインフレ目標中央値(3.5%)と上限値(5%)を大きく超過している。これに伴い、政策金利(Selic)は2021年3月時点では2.0%だったが、2022年3月には11.75%まで引き上げられた。

(注3)企業の借り入れコスト上昇による設備投資の縮小や各種ローンの金利上昇で、個人消費が低迷する可能性を指しているとみられる。

(古木勇生)

(ブラジル、ウクライナ、ロシア、米国、中国)

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