食品ロスの削減目指すチリ発スタートアップ

(チリ)

サンティアゴ発

2022年04月06日

チリ発スタートアップのグッドミール(GoodMeal)が国内小売り大手のウォルマートチリ(Walmart Chile)との協業プロジェクトを開始すると、3月31日付の「エル・メルクリオ」紙が伝えた。同プロジェクトは、首都圏州内のプロビデンシア区にウォルマートが所有する3カ所のスーパーマーケットで試験的に開始する。

グッドミールは、環境問題の原因としても挙げられる食品ロスに問題意識を持って起業したスタートアップだ。専用のアプリケーションを通じて、スーパーマーケットやレストラン、カフェなどの売り手と、買い手となる消費者の間のマッチングを提供するプラットフォームを運営している。

写真 アプリケーションでは、位置情報から近隣の店舗情報が表示される(ジェトロ撮影)

アプリケーションでは、位置情報から近隣の店舗情報が表示される(ジェトロ撮影)

アプリケーションを通じて販売されるのは、「売れ残り」の製品となるため、消費者にとって、最も安い場合は正規の3割程度の割引価格でさまざまな店舗の製品を購入できるというメリットがある。売り手にとっては、日々の売れ残りの内容を前もって正確に予測するのは困難であろうという配慮から、マッチング時点では製品の詳細については「サプライズ」の扱いとなっている。これにより、売り手側は柔軟に「売れ残り」製品の販売を行うことが可能となり、消費者が「今まで利用したことのない近所の店」の製品を試験的に購入するきっかけ作りとしても機能するだろう。

3月31日時点のグッドミールのウェブサイト上の情報によると、登録店舗数は既に1,000以上、登録ユーザーは25万人超と伝えられており、スターバックスやダンキンドーナツなどの有名店も参加している。

チリでは燃料価格の高騰などを背景に、直近12カ月の消費者物価上昇指数が7%を超える期間が続いている。同アプリケーションを通じた廉価な食品へのアクセス確保が、インフレに苦しむ国民の救済策となることが期待されている。

(佐藤竣平)

(チリ)

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