スウェーデン政府、ウクライナ支援も含めた補正予算案を発表

(スウェーデン、ウクライナ、ロシア)

ロンドン発

2022年04月25日

スウェーデン政府は4月19日、2022年春の財政政策法案と2022年度の補正予算を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ロシアのウクライナ侵攻による治安情勢の悪化を踏まえ、スウェーデンの防衛力強化やウクライナ支援のため、3月以降採択済みのものを含めて総額354億スウェーデン・クローネ(約4,602億円、1スウェーデン・クローネ=約13円)の追加予算が割り当てられる。主な内容は以下のとおり。

○防衛力の強化

昨今の治安情勢を踏まえ、スウェーデンの防衛力を強化するため、軍事防衛への支出を増額する。さらに、政府は民間防衛シェルターと警報システムを改善し、民間人の保護を強化する。

○ウクライナ支援とスウェーデン全土における難民受け入れ政策

これまでも、ウクライナ軍に対する資金提供と防衛品の支援、ウクライナ避難民受け入れを含む人道的支援を行ってきたが、今後もさらにスウェーデン全土で避難民受け入れの責任を果たすため、大幅に増額した資金を割り当てる。

○家庭や企業への経済的影響の緩和

国内の食料、燃料、電力などの価格上昇による経済的影響を緩和するため、電力価格と燃料価格高騰に対する支援、燃料税引き下げの措置を行う。さらに、子供のいる家庭の住宅手当の一時的な増額、温室栽培を営む農家と豚・鶏肉の畜産農家を対象とした一時的支援、農林・水産養殖業のディーゼル燃料の一時的な減税などを実施する。

○グリーン移行の加速による雇用創出

鉄道の競争力強化と、貨物輸送の車両から鉄道への移行を促進するための環境補償を増額する。

○新型コロナウイルス感染対策の継続

医療と社会サービスを確保するために、追加の資金を割り当て、必要に応じて全ての人が4回目の新型コロナワクチン接種を受けられるようにする。

政府はスウェーデンの2022年の経済見通しについて、雇用率が新型コロナ感染拡大前よりも高くなるなど、回復傾向にあるとして、基本的に安定していると評価しつつ、ロシアのウクライナ侵攻が成長率を引き下げ、インフレ率は高くなると予想している。

(島村英莉、篠崎美佐)

(スウェーデン、ウクライナ、ロシア)

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