米イリノイ州知事が2023年度予算に署名、インフレ対応に選挙対策との批判も

(米国)

シカゴ発

2022年04月27日

米国イリノイ州のJ.Bプリツカー州知事(民主党)は4月19日、2023年度の予算案に署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。歳入は464億2,900万ドル、歳出は459億8,600万ドルで4億4,400万ドルの黒字を見込み、2023年7月1日から適用される。本予算の目玉はインフレ対応で、家庭向けに18億3,000万ドルの税制優遇措置を盛り込んだ。プリツカー州知事は「この予算は、勤労者世帯の生活を真の意味でより良いものにするもので、強固な財政の未来につながる」と語った。予算案における具体的なインフレ対策は以下のとおり。

  1. 食料品に対する州消費税を1年間、1%分減税(4億ドル分の税制優遇)
  2. 自動車燃料税を6カ月間凍結(7,000万ドル分の税制優遇、7月に予定されていた増税を凍結。7月以降、州内のガソリン給油所は増税が凍結されていることを看板などで掲示することが求められる)
  3. 固定資産税の還付(5億2,000万ドル分の税制優遇、1世帯当たり最大300ドルまで)
  4. 州の所得税額控除について、現行では連邦の所得税額控除分の18%だが、これを20%に恒久的に拡大(1億ドル分の税制優遇)
  5. 勤労者世帯への還付(6億8,500万ドル分の税制優遇、所得制限の下、1人当たり50ドル、扶養家族1人につき100ドルを子供3人まで)
  6. 新学期セールが行われる8月の1週間の衣料品や学用品に対する売上税の減免措置(5,000万ドル分の税制優遇)

なお、2022年11月には州知事選挙が実施されるため、こうしたインフレ対応は州知事の選挙対策だとする批判もみられる。

(藤本富士王)

(米国)

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