2月の米小売売上高は前月比0.3%増に、2022年通年は6~8%増の見通し

(米国)

ニューヨーク発

2022年03月22日

米国商務省の速報(3月16日付)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.3%増の6,581億ドルと、2カ月連続の増加となったものの(添付資料表参照)、ブルームバーグがまとめた市場予想の0.4%増を下回った。なお、1月の売上高は3.8%増(速報値)から4.9%増に上方修正された(2022年2月21日記事参照)。

ガソリンスタンド、フードサービス、自動車・同部品などが押し上げ要因に

業種別にみると、ガソリンスタンドが前月比5.3%増の575億ドルで、寄与度プラス0.44ポイントと全体を最も押し上げた。次いで、フードサービスが2.5%増の739億ドル(寄与度:0.27ポイント)、自動車・同部品が0.8%増の1,352億ドル(0.17ポイント)で増加に寄与した。一方、無店舗小売りは3.7%減の958億ドルと減少した。

また、民間調査会社コンファレンスボードが2月22日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした2月の消費者信頼感指数(注1)は110.5と、1月(111.1)より0.6ポイント低下し、2021年9月以来5カ月ぶりの低水準となった(添付資料図参照)。内訳をみると、現況指数は145.1(1月:144.5)で0.6ポイント上昇、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は87.5(1月:88.8)で1.3ポイント低下した。

なお、全米小売業協会(NRF)は3月15日、2022年の米国の小売売上高(自動車ディーラー、ガソリンスタンド、レストランを除く)の見通しを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、前年比6~8%増の4兆8,600億~4兆9,500億ドルになると予測した。新型コロナウイルス流行以前の10年間の平均成長率(3.7%)を上回る見通しとなっており、全米で経済再開が進む中で、消費意欲は引き続き堅調に推移するとの期待感を示した。

一方で、米国の2月の消費者物価は40年ぶりの高い上昇率(2022年3月11日記事参照)が続いていることから、堅調にみえる小売売上高も、その影響を除いた実質ベースでは相当程度抑えられている可能性がある。消費者の間でもインフレへの懸念が高まっており、国際ショッピングセンター評議会(ICSC)が実施した消費者調査(注2)によると、4割近くの回答者が自身の経済状況が悪化したと回答しており、これらの消費者は生活必需品の価格上昇にさらなる不安を抱いているという。また、経済状況の悪化に限らず、成人の82%が食料品、76%が光熱費、75%がガソリン価格の変動の影響を受けていると回答しており、いずれもここ数カ月で価格が大幅に上昇している。

NRFのチーフエコノミスト、ジャック・クラインヘンズ氏は「ほとんどの家庭は、これほどのインフレを経験したことがなく、2023年まで高止まりすると予想される」との懸念を示した。またインフレに加え、新型コロナウイルスの影響や国際的緊張の高まり、政策の変動性などが米国経済を大きく左右すると指摘した。

(注1)本調査のアンケート結果は、ロシアによるウクライナ侵攻前に行われたため、その影響は今回の結果に含まれていない。

(注2)実施時期は2月18~20日。回答者は全米の成人1,007人。本調査は、ロシアのウクライナ侵攻前に実施されたため、これによる消費者心理やインフレへの影響は反映されていない。

(樫葉さくら)

(米国)

ビジネス短信 d92eb94bafcad020