政府がCPTPP加盟申請に向けた公聴会開催

(韓国)

ソウル発

2022年03月30日

韓国産業通商資源部は3月25日、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)加盟申請に向けた公聴会を開催したと発表した(2022年2月24日記事参照)。公聴会では、CPTPP加盟に伴う経済効果や産業部門別の影響、国内対策について説明が行われた。

同部のチョン・ユンジョン通商交渉室長は開会の辞で「CPTPP加盟は、輸出市場の確保や安定的なサプライチェーン構築に寄与するとともに、域内の多国間協調に参加するという戦略的意義が大きい」と強調した。

CPTPP加盟による経済効果について、各機関が報告を行い、対外経済政策研究院(KIEP)は、CPTPP加盟により実質GDPが0.33%~0.35%押し上げられるとの分析結果を発表した。一方、韓国農村経済研究院(KREI)は、農業分野では発効後15年間で年平均853億~4,400億ウォン(約85億3,000万円~440億円、1ウォン=約0.1円)の国内生産の減少が見込まれるとの分析結果を明らかにした。釜慶大学校は、水産業は発効後15年間で年平均69億~724億ウォンの国内生産の減少が見込まれるとの分析結果を発表した。

最後に政府の各担当部署が支援対策計画を発表した。農水産業については、追加的な市場開放による業界の懸念を勘案し、十分な被害補償とともに、被害品目の競争力強化や国内需要基盤の拡充、構造改革などの総合的な支援対策を推進するとした。製造業分野についても、特に中小企業の競争力強化政策パッケージ、企業間連携の推進、販路拡大などを通じてセーフティーネットを構築していくと強調した。

政府では、今回の公聴会の意見を基に、通商条約法に従ってCPTPP加盟申請関連の国内手続きを進めていくとしている。

聯合ニュース(3月25日付)は、公聴会で農業・漁業関係者から強い抗議があったことや、チョン・ユンジョン通商交渉室長が「市場開放により農水産業では否定的な影響が大きいと予想され、これに対する懸念に耳を傾けている」とコメントしたことを紹介している。

(当間正明)

(韓国)

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