英主要企業、ロシア事業の停止や撤退を相次ぎ発表

(英国、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ)

ロンドン発

2022年03月11日

ロシアによるウクライナ侵攻を背景に、英国でもロシア事業の停止や撤退を表明する企業が出ている(注)。主要産業分野の企業動向を以下にまとめた。

○エネルギー

石油大手シェル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは2月28日にパイプライン「ノルドストリーム2」への関与終了などの考えを示していたが(2022年3月1日記事参照)、さらに3月8日に、ロシアの原油、石油製品、ガス、液化天然ガスへの関与を段階的に終了すると発表。まず、ロシア産原油のスポット購入を停止するほか、ロシアでのガソリンスタンド、航空燃料、潤滑油の業務も閉鎖するとした。また、ガス大手IOG外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは3月1日、北海で採掘されたガスのガスプロムへの販売契約を終了すると発表した。同業のセントリカも3月1日、ガスプロムなどロシアガス企業へのガス供給契約の終了を計画していると発表したと、同日付「ブルームバーグ」紙が報じた。

○小売り

ロシア産製品のボイコットが拡大、大手スーパーマーケット各社によるロシア産ウォッカの販売停止などが報じられている。大手ジョン・ルイス・パートナーズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは3月4日、高級デパート、ジョン・ルイスでのロシア製ピザ窯用ペレット燃料、スーパーマーケット・ウェイトローズでのロシア産ウォッカの販売を停止すると発表。さらに、サプライヤーと協働し、ロシア産原材料を使用している製品の見直しを行うとした。

○コンサルティングサービス

KPMGは3月6日、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)とデロイトは3月7日、ロシアとベラルーシ拠点との関係を終了予定だとそれぞれ発表した。アーンスト・アンド・ヤング(EY)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは3月7日、ロシア政府や国有企業、制裁対象の企業・個人へのサービス提供の終了と、ロシア拠点を同社ネットワークから切り離すための再編の開始を発表した。

○輸送機器、建機分野

ロールスロイスは3月2日にロシア関連事業の全面停止を決定したと、同日付BBCニュース(オンライン記事)が報じた。

アストンマーチン、ジャガー・ランドローバーは3月1日、ロシアへの自動車配送を停止したと同日付ロイター紙が報じた。

建設機械JCBは機械、スペアパーツの輸出を含むロシアでのビジネスを停止したと3月3日付タイム紙が報じた。

ロシア現地の雇用保護や生活必需品提供のため、事業を継続する企業もある。ブリティッシュ・アメリカン・タバコ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは3月9日、全ての投資計画を停止する一方で、雇用保護のためロシアでの操業は継続するとした。食品・家庭用品大手のユニリーバ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも3月8日、ロシアとの輸出入や追加投資、メディア・広告費の支出を停止する一方、ロシアで製造された食品、衛生製品の提供は継続すると発表した。同様に、衛生・健康製品大手のレキット外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも3月10日、広告や追加投資を停止する一方、衛生・健康製品などの必需品の提供は継続するとした。

(注)英国時間3月10日時点までの各社プレスリリースや報道情報を基にしている。

(オステンドルフ・七海・ありさ)

(英国、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ)

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