ジェトロ、非代替性トークン(NFT)の最新動向を紹介するウェビナーを開催

(米国)

デジタルマーケティング課

2022年03月15日

ジェトロは3月4日、「米国発非代替性トークン(NFT)の最前線」と題したウェビナーを開催した(注1)。米国を中心に、NFT(注2)を活用した取引がブームとなっており、「2021年はNFT元年」ともいわれる。グッチ、ナイキ、アディダス、マイクロソフト、ツイッター、マクドナルド、バドワイザー、マーベル、ギャップ、ロレアル、ショッピファイなど、各業界大手が積極的に取り入れを表明している。今回のウェビナーでは、NFTの基礎的な概要や活用事例について、米国を拠点に新規事業開発に取り組むエグザ・イノベーション・ステュディオ(Exa Innovation Studio)の 共同創業者兼マネージング・ディレクターの信原威氏が、米国のNFT活用状況について事例を交えて解説した。

写真 信原氏の講演の様子(ジェトロ撮影)

信原氏の講演の様子(ジェトロ撮影)

前半では、米国におけるNFTの市場動向データを踏まえ、その盛況を示すとともに、NFTおよびNFTと組み合わせた活用が広がるメタバース(注3)の概念や仕組みについて解説した。後半では、アート・ゲーム・音楽・収集品・会員権・物販・EC(電子商取引)サイトなどの分野におけるNFTの活用事例を紹介した。著名人の購入により高額取引されるようになったNFTアートや、NFT作品とコラボしたアパレルコレクションなど、さまざまな業界での活用の広がりを示した。

また、メタバース内でプレーヤーがアイテムのNFTを自作・売買できるゲームや、ディズニーによるNFTを活用したバーチャルテーマパークの構想など、NFTはメタバースとの親和性もある。NFT購入者が運営に携わることができるスポーツクラブや、NFTの所有が入店条件となっている高級外食店の取り組みなどを通じて、限定的な体験へのアクセス権としてのNFTを活用するという事例もある。信原氏は「NFTは、共通する興味・関心をもつ人々をつなぎ合わせ、これまでになかった新しいファンコミュニティの創出とロイヤルティの醸成に加え、新たな収益化の仕組みを提供する有効な手段」と述べた。

本ウェビナーは、コンテンツ関連企業やスタートアップ関係者を含む約400人が参加し、最後には活発な質疑応答が行われた。ジェトロは今後も、NFTセミナーをシリーズで開催する。第2回となる次回以降では、実際にNFTを発行している米国事業者へのインタビューや、中国など米国以外の地域での事例を紹介する予定だ。

(注1)アーカイブ動画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。動画視聴およびこちらのアンケート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの回答者に2回目(2022年5~6月ごろを予定)以降のセミナー案内をお送りする。

(注2)ブロックチェーン(分散型台帳技術)上で取引・発行される、偽造不可な唯一無二の鑑定書・所有証明書付きデジタルデータ。

(注3)さまざまな定義があるが、アバター(自分の分身)を通じて、行動・体験・協働できるインターネット上の仮想空間を一般には指す。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の技術と相まって、同じ時間・空間を共有できる臨場感がさまざまな業界から着目されている。フェイスブックが社名をメタ・プラットフォームズに変更したことが話題を呼んだ。

(柴田桃佳)

(米国)

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