オーストリアの経済予測、ロシアのウクライナ侵攻の影響から下方修正

(オーストリア、ロシア、ウクライナ)

ウィーン発

2022年03月31日

オーストリア経済研究所(WIFO)は3月25日、2022年春季経済予測を発表した。ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けて、冬季予測から大幅な下方修正となった(添付資料表参照)。

WIFOは2022年のオーストリアの実質GDP成長率を3.9%とし、前回予測より1.3ポイント下方修正した。2023年は2.0%として0.5ポイント下方修正した。2022年の成長率の下方リスクも少なくはない。最大の懸念材料はウクライナ侵攻がもたらすエネルギー価格の急騰で、そのほかにサプライチェーンの混乱や、対ロシア制裁による輸出の減少、観光への悪影響(特に米国、アジアから欧州への観光客減少)、回復したばかりの個人消費の減少などがある。さらに、新型コロナウイルス禍によるリスクもまだ残っており、2022年秋に感染力の高い新たな変異株が発生した場合、さらなるサプライチェーンへの影響や、一時的な生産停止の可能性も否定できない。

EUの一部と米国は、ロシアから石油や天然ガスの輸入を全面的に停止することを要求しているが、オーストリア政府はドイツ政府とともに強く反対している。WIFOのガブリエル・フェルバマイヤー所長によると、オーストリアはガス供給の80%をロシアに依存しているため、ロシアからのガス輸入の即時全面禁止は、エネルギー集約型の業種を危うくするなど、2~4%のマイナス成長をもたらし、経済は不況に陥るとしている。また、ロシアのガスを10%減らした場合、経済成長が1.1%減となるという。

エネルギー価格の急騰によって、消費者物価指数上昇率は2月に5.9%と38年ぶりの最高値になったが、4~5月にはさらに7%に上がり、2022年平均では5.8%となる見通しだ。エネルギー価格高騰に伴い、消費財も食料品も大幅な値上がりが予想される。

個人消費は、ロックダウンなど新型コロナ対策の制限措置の解除により回復し、経済成長に貢献するが、ウクライナ侵攻と物価上昇が消費意欲を冷え込ませる恐れがある。同様に、観光も新型コロナ禍による制限から回復する見通しだが、ウクライナ侵攻によって足を引っ張られることになりかねない。

一方、労働市場は改善が続き、2月の就労者数は新型コロナ危機前の2020年2月の水準を2.4% 上回り、失業率も0.9ポイント減少した。また、求人数は新型コロナ危機前の1.5倍になっている。ウクライナ避難民の労働市場への参入によって、人手不足が緩和される一方、失業率の減少には歯止めがかかるとみられる。

(エッカート・デアシュミット)

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