韓国政府、米国の対ロシア制裁のうち輸出規制強化の影響を注視

(韓国、米国、ロシア)

ソウル発

2022年03月01日

韓国産業通商資源部は2月25日、米国の対ロシア制裁のうち輸出規制強化措置(注1)による韓国への影響を点検するため、ヨ・ハング通商交渉本部長の主宰による「ロシア・ウクライナ事態関連貿易安全保障班 第1回会議および輸出規制説明会」を開催した。

同本部長は説明会で、「米国の輸出規制強化措置による韓国企業への影響を最小限に抑えるため総力を尽くす」と強調した。今後、韓国企業に及ぼす影響を分析するとともに、米国の措置による不確実性を最小化するため、対米協議を迅速に推進する計画とした。

韓国メディアは、韓国の主要産業への影響について懸念の声を伝えている。「聯合ニュース」(2月25日)によると次のとおり。半導体については、2021年の対ロシア半導体輸出額は7,532万ドルと、韓国の半導体輸出全体の0.06%程度に過ぎない。しかし、外国直接製品(FDP)ルールにより、米国のソフトウエア・技術を使用して国外で生産された製品も規制対象となるため、米国の半導体技術を使用した製品の輸出にも影響が及ぶと予想される。また、乗用車および自動車部品については、2021年の輸出全体に占めるロシア向け輸出の割合がそれぞれ25.5%、15.1%で、影響が避けられない見通しだ(注2)。韓国自動車産業協会(KAMA)によれば、韓国の自動車部品メーカーがロシアに輸出する部品の90%以上は現代自動車・起亜の現地工場に納品される。今回の制裁で輸出が滞ると、現地生産に影響が及ぶ可能性が高いとしている。

(注1)米国の対ロシア輸出規制強化措置の主な内容は、(1)7分野(半導体、コンピュータ、情報通信、センサー・レーザー、航空電子、海洋、航空宇宙)57品目・技術の対ロシア輸出を規制、(2)対ロシア輸出許可の審査方針を、原則不許可とする、(3)ロシア国防省を含む軍事と関連する49の企業をエンティティリストに追加登録し、全ての戦略物資の輸出を規制、(4)特定の米国産技術・ソフトウエアを活用した第三国生産製品に対する域外統制〔外国直接製品(FDP)ルール〕の実施。

(注2)半導体、乗用車、自動車部品の輸出額および構成比は、韓国貿易協会より引用。

(当間正明)

(韓国、米国、ロシア)

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