北京市、新規・追加投資や法人の新規設立などを禁止・制限する産業リストの改定版発表

(中国)

北京発

2022年03月23日

中国・北京市政府は3月14日、「北京市において新規・追加投資を禁止・制限する産業リスト(2022年版)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを2月14日付で公布し、即日実施したことを公表した。同リストは2014年7月に初めて公表・実施されたもので、今回で3回目の改定となる。

北京市発展改革委員会によると、同リストは北京の首都としての質の高い発展を推進するため、首都機能以外の機能(非首都機能)の増加を厳しく抑制し、北京市の産業構造転換および機能の最適化を促すための重要な政策文書と位置付けられている。同委員会によると、今回の改定は、主に首都機能の高度化、非首都機能の増加の厳格な抑制、業種・エリアごとに区別されたより精密な管理を行うという観点から実施された。

また、北京市のカーボンピークアウト・カーボンニュートラル目標のいち早い達成に向けて、新規の投資やその機能がよりグリーン低炭素や生態環境保護に寄与するかたちとするよう誘導するとされた。具体的には、北京市全域で火力発電および熱電供給(緊急時予備用・ピークシフト用・基本運転用のものを除く)の新設・増設を禁止することなどが盛り込まれた。

製造業については、一般製造業(注1)に対する厳格な禁止・制限を継続すると同時に、先進製造業と生産型サービス業(注2)を深く融合させ、首都機能の位置付けに沿うハイレベルな産業に対して、きめ細かい支援を行うとした。例えば、中核エリア(東城区、西城区)、都市部の4つの区(朝陽区、海淀区、豊台区、石景山区)、副都心(通州区の中心エリア)以外の平原エリア、生態エリアの工業団地において、水素エネルギー、スマートグリッド接続、新エネルギー車に関連する製造支援を行うとした。

首都経済貿易大学特大都市経済社会発展研究院の葉堂林執行副院長は「北京市のサービス業および生産型サービス業は、北京市内の企業に加え、全国の製造企業に対してサービスを提供している」としたうえで、「ハイエンドや先進的な製造業を発展させるには、ハイエンドな生産型サービス業との密な連携が必要だ」と指摘した(「21世紀経済報道」3月16日)。

また、葉執行副院長は「北京で生み出された科学技術の成果の多くが、長江デルタ地域や珠江デルタ地域で産業化されている」と指摘し、「北京の科学技術イノベーションの優位性を生かして北京および周辺の産業を発展させるには、研究開発・設計やブランドマーケティングなど、産業チェーンのハイエンドな部分に焦点を当て、北京周辺にそれらの製造加工工程を置くことで産業構造高度化をよりよく実現すべき」と述べている(同)。

(注1)北京市発展改革委員会による解説では、首都としての機能や北京市のカーボンピークアウト・カーボンニュートラル目標に沿わない一般製造業について、引き続き厳格に禁止・制限するとした。

(注2)国家統計局の「生産型サービス業統計分類(2019)」によると、生産型サービス業には、生産活動のための研究開発設計その他の技術サービス、貨物輸送、一般航空生産、倉庫・郵便宅配サービス、情報サービス、金融サービス、省エネ・環境サービス、製造業向けリースサービス、ビジネスサービス、人材管理・職業教育・訓練サービス、卸売・貿易仲介・代理サービス、生産支援サービスなどが含まれる。

(趙薇)

(中国)

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