ロシア、欧州の飛行機発着を禁止、対ロ制裁への対抗措置

(ロシア、ウクライナ、欧州)

モスクワ発

2022年03月01日

ロシアの連邦航空輸送庁(ロスアビアツィヤ)は2月25~27日に、英国、ブルガリア、ポーランド、チェコ、ルーマニア、スロベニア、バルト三国(ラトビア、エストニア、リトアニア)の航空会社およびこれらの国に登録のある航空機のロシアでの発着および領空通過を禁止すると発表した。これらの国の航空会社がロシアでの発着や領空通過する場合は、ロスアビアツィヤもしくはロシア外務省の特別許可が必要となる。ロスアビアツィヤは、当該各国が対ロ制裁の一環として導入したロシアの航空会社への飛行禁止措置への対抗策だと説明した。

英国は2月24日、ウクライナ情勢に関する対ロ経済制裁(2022年2月25日記事参照)の一環として、アエロフロート航空の英国領空での飛行禁止を打ち出した。航空調査会社アビアポートのオレグ・パンテレエフ副社長によれば、ロンドン行きフライトは年間を通じて需要・利益率が高い路線(「コメルサント」紙2月24日)で、アエロフロートへの打撃となる可能性がある。また、英国政府、ロシア政府ともに「個人が所有、リースまたは運航する飛行機」を飛行の禁止対象としたことから、両国間を行き来するロシア富裕層へも影響があるとみられる。

欧州各国の領空での飛行が認められなくなったことを受け、アエロフロートは2月27日、欧州へのフライトを2月28日から許可がでるまで運休すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。また、S7航空は2月26日から3月13日までの期間、全ての欧州発着便を運休すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ロシア本土から飛び地のカリーニングラード州へのフライトは、バルト海の公海上を飛行する措置が取られることになった。

他の欧州の国々も同様に、ロシア機に対する自国領空の閉鎖を発表している。2月27日には欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が、ツイッターで「新興財閥(オリガルヒ)のプライベートジェットを含むロシア管理下にある飛行機はEU域内での離発着はできない」と、EU全体での空域閉鎖体制が整ったことを発表した。2月28日午前10時(モスクワ時間)時点では発表はないが、今後、対抗措置としてロシア側が領空閉鎖を行う可能性が高い。

(菱川奈津子)

(ロシア、ウクライナ、欧州)

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