チェコ、ウクライナ避難民の自由な労働市場参入を保証

(チェコ、ウクライナ、ロシア)

プラハ発

2022年03月22日

チェコのミロシュ・ゼマン大統領は3月17日、「ロシア連邦によるウクライナへの軍事侵攻で開始されたウクライナでの武力衝突に関連する雇用、社会福祉部門の措置に関する法律」に署名し、同21日に発布された。これにより、EUの「一時的保護」の対象となるウクライナ避難民は、チェコの雇用法の運用上「永住権を有する外国人」と見なされ、就労のために労働許可や就労ビザを取得する必要がなくなる。

同法は3月4日にEU理事会(閣僚理事会)が採択したウクライナ緊急避難民に対する「一時的保護」措置の提供に関する決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づいて定められたものである。同決定が定義する「一時的保護」の対象は以下のとおり。

  1. ロシアが軍事侵攻を開始した2月24日以前にウクライナ国内に居住しており、かつ同日以降にウクライナからの避難を余儀なくされたウクライナ国民。
  2. 2月24日以前にウクライナで難民あるいは同等の保護を認定された第三国民で、同日以降にウクライナからの避難を余儀なくされた者。
  3. 2月24日以前にウクライナ永住権に基づいて同国に居住していたことを証明できる第三国民(あるいは無国籍者)で、持続的な安全上の理由から母国あるいは出身地に戻ることができず、同日以降にウクライナから避難を余儀なくされた者。

上記のいずれかに該当する者は、チェコの雇用法の運用上「永住権を有する外国人」と見なされ、EU市民と同様にチェコの労働市場への自由な参入が保証される。

チェコ企業のウクライナ避難民の雇用に対する関心は高い。チェコ産業連盟が3月11~15日に国内製造企業124社を対象に実施した聞き取り調査の結果、約75%がウクライナ避難民を雇用する用意があると回答、その対象ポストは合計1,500となっている。

内務省によると、チェコ特別長期滞在ビザ(注)の発給を受けたウクライナ避難民は3月20日時点で20万5,456人となっている。

(注)ウクライナ国民とその家族(ウクライナ国籍以外の人を含む)で2月24日以降にチェコに入国した者、または2月24日以前にチェコに入国し、かつ有効なビザを有さない者、または短期ビザのみを有している者で、90日を超える滞在を希望する者を対象に、入国後に発給するビザ。3月22日以降、EUの「一時的保護」の対象となるウクライナ避難民には、同ビザではなく一時的保護ビザが発給される。一時的保護制度導入に伴い、特別長期滞在ビザ取得者は自動的に一時的保護制度下に組み込まれる。

(中川圭子)

(チェコ、ウクライナ、ロシア)

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