シンガポール、対ロシア制裁で一部輸出と銀行取引を規制へ

(シンガポール、ロシア、ウクライナ)

シンガポール発

2022年03月01日

シンガポールのビビアン・バラクリシュナン外相は2月28日の閣僚声明で、ロシアによるウクライナへの軍事行動に対する適切な制裁を、他の国々と歩調を合わせるかたちで科す方針を発表した。ウクライナに対する軍事行動で使用可能な武器などの品目について輸出規制をするとともに、ロシアの特定の銀行やロシアに関連する金融取引を禁止する。具体的な制裁内容は、近く発表する予定だ。

同外相は声明で、シンガポールが国連安全保障理事会での決議なしに他国に対する制裁を発動するのは、「極めてまれのこと」と述べた。しかし、ロシアによるウクライナへの軍事行動という異例で深刻な事態な上、ロシアの即時撤退を求める国連安全保障理事会での決議案についてロシアが拒否権を行使したと指摘。このため同外相は、シンガポールが他の国々と共同でロシアに対する制裁を科す方針だと説明した。シンガポールは、同決議案を提出した共同提案国・地域の1つ。

同外相は「ロシアによるウクライナへの侵攻は、国際規範に対する明確で重大な違反」と批判した。その上で同外相は今回の軍事行動が、シンガポールの「存在意義にもかかわる問題でもある」と強調。大国による力の論理が支配するような世界秩序を認めれば、「(シンガポールのような)小国の安全保障と存続が脅かされる」と述べた。同外相は、シンガポールが「今後もロシアとロシア国民との良好な関係を維持する。しかし、他の主権国家の領土を侵害する行為は受け入れることはできない」と語った。同外相によると、同国はシンガポール赤十字を通じて、ウクライナへ10万米ドルの人道支援を行う予定。

シンガポール航空、モスクワ往復便の運航を停止

一方、シンガポール航空(SIA)は同日、シンガポールとロシア・モスクワ間の往復航空便の運航を、「オペレーション上の理由」で即日停止すると発表した。

(本田智津絵)

(シンガポール、ロシア、ウクライナ)

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