外資規制を緩和、通信・運送などの分野は外資100%可能に

(フィリピン)

マニラ発

2022年03月25日

フィリピンのドゥテルテ大統領は3月21日、公共サービス法の改正法案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に署名した(政府通信社3月21日)。官報掲載の15日後に発効する。

1936年に成立した現行の公共サービス法は、フィリピン人もしくはフィリピン人が60%以上出資する企業だけに「公益事業」の運営・管理業務への参入を認めている。しかし、同法では「公益事業」の定義が明確でなかったため、これまで幅広い分野が「公益事業」と見なされ、外資系企業がフィリピンでビジネスを行う上で参入障壁となっていた。同改正法案によって「公益事業」の定義を明確化するとともに、フィリピンにとって外資参入を期待する分野について外資の出資比率の上限を撤廃し、経済活性化へとつなげることが政府の狙いだ(2022年2月14日記事参照)。

法案の概要は以下のとおり。

  • 「公益事業」は、電力の送配電、石油および石油製品のパイプライン輸送システム、上下水道、港湾、公共交通車両を指す。これらの事業への投資について、外国資本は40%以下に制限する。
  • 通信、鉄道、高速道路、空港、運送については、外国資本による投資が100%可能。
  • 外国籍の者あるいは外資系企業の支配に帰結する公共サービス分野の合併や買収、投資に対して、大統領は当該取引を保留もしくは禁止する権限を有する。
  • 重要なインフラストラクチャーの運営・管理に従事する会社に対して、外国籍の者が当該企業の資本を50%以上保有することを禁止する。ただし、相手国がフィリピン国籍の者に対して互恵的にこれら分野企業への投資を認める場合を除く。

ラモン・ロペス貿易産業相は3月22日、「公共サービス法の改正法案の成立によって、600億ドルから1,000億ドルの投資が今後2年間でフィリピンにて行われる」との見解を示した(政府通信社3月22日)。

(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)

(フィリピン)

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