政府が企業の国際物流を積極支援

(韓国)

ソウル発

2022年03月28日

韓国政府は、世界的なコンテナ不足や海上運賃の上昇などで困難に直面している中堅・中小企業の競争力強化のため、さまざまな支援制度・事業を推進している。その代表例として「物流専用輸出バウチャー制度」や「海外共同物流センター」が挙げられる。各事業の詳細は以下のとおり。

1.物流専用輸出バウチャー制度外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

海上・航空運送サービスの供給不足と運賃の持続的な上昇に対応するため、緊急輸出物流支援事業として、物流専用輸出バウチャー(注1)を支給する制度を2021年8月に開始した。同年は産業通商資源部が補正予算を32億5,200万ウォン(約3億2,520万円、1ウォン=約0.1円)投入し、中堅・中小企業約230社を支援、中小ベンチャー企業部が補正予算109億ウォンを投入し、約780社を支援した。同制度は「中小企業基本法」と「中堅企業成長促進および競争力強化に関する特別法」で定める大半の中堅・中小企業が支援対象(注2)となる。支援内容は、保険料を含めた海上・航空国際輸送費や到着国での物流費などで構成され、1社当たり最大1,400万ウォンの国庫補助を受けることができる。2022年も同様の制度を実施中。

2.海外共同物流センター外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

海外で自社の物流センターを持つことが難しい中堅・中小企業を支援するため、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の協力物流会社の倉庫を共同で利用する制度。2004年にオランダのロッテルダムに初のセンターを開所した。現在ではイラン、リビア、シリア、キューバといった、現地状況によってサービスが困難な地域を除き、KOTRAの全海外拠点で運営されている。参加企業は、海外共同物流センターを利用して自社製品の保管、入庫・出庫、包装、返品、通関、輸入代行などのフルフィルメントサービスを受けることができる。費用のうち、中小企業は70%、中堅企業は50%が国庫支援の対象となり、それぞれ70万~1,400万ウォン、50万~1,000万ウォンが補助される。同事業は毎年12月に次年度分を募集しており、2022年1月時点で837社が利用している。

(注1)中小企業などが一定額を自己負担すると、これに相当する補助金を政府が支給する制度。総額がクーポン形態のバウチャーで支給され、関連サービスを選択して利用することができる。

(注2)中小企業基本法は、業種や業種の細目ごとに中小企業の定義を規定している。例えば、製造業の場合、過去3年間の平均売上高が、(1)金属製造などは1,500億ウォン以下、(2)食品製造は1,000億ウォン以下、(3)非鉄金属製造などは800億ウォン以下となっている。

〔李海昌(イ・ヘチャン)〕

(韓国)

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