エア・ウォーターと三井物産、北米での産業ガス事業拡大の戦略的提携に合意

(米国)

ヒューストン発

2022年03月02日

エア・ウォーター(本社:大阪府)と三井物産は2月24日、北米での産業ガス事業の拡大に向け、戦略的提携を行う覚書を締結したと発表した。

産業ガスは、鉄の製造に必要な酸素や半導体の製造現場に欠かせない窒素のほか、アルゴン、水素、炭酸ガス、ヘリウムなど産業全般で広く使われるため、さまざまな市場の成長と強く結びついている。また、脱炭素化の流れを背景にした水素ガスの需要など、新規市場での需要拡大も期待されている。

こうした状況下、北米での産業ガス事業の成長・発展に取り組むエア・ウォーターと、北米でのさまざまな活動・ネットワークを活用した産業ガス事業への新たな取り組みを目指す三井物産の方針が一致したという。

エア・ウォーターは、強みであるガス製造・供給に係る技術、ノウハウを生かした北米・インドでの産業ガス事業を中心に、海外事業の拡大を図っている。産業の裾野が広い米国では、エア・ウォーター・アメリカを通じて需要地近郊に、高効率小型空気分離プラントを設置する地産地消の戦略で、米国産業ガス市場へ参入を計画している。

三井物産は、北米の産業ガス事業の拡大に加え、今後も世界各地での産業ガス事業を通じ、「安定供給の基盤」「環境と調和する社会」の実現に向け貢献する方針だ。

三井物産は2021年10月26日に、二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)やEOR(注1)事業を担う米国デンバリー(本社:テキサス州プレイノ)と、CCUS(注2)技術を用い、産業排出されるCO2を引き受けて有効利用する「カーボンネガティブ・オイル」事業に向け、共同作業を開始したことを発表している(2021年11月5日記事参照)。

(注1)Enhanced Oil Recovery (二酸化炭素などを利用した石油増進回収)のこと。

(注2)Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)のこと。CCSにおいて回収したCO2を特に有効活用(Utilization)する技術や取り組みを指す。

(沖本憲司)

(米国)

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