ハンガリー初の女性大統領が誕生

(ハンガリー)

ブダペスト発

2022年03月18日

ハンガリー国会で3月10日、ノバーク・カタリン前家族政策担当相(無任所相)が大統領当選に必要な3分の2以上を得票し、新しい国家元首として選出された。ノバーク氏は、ハンガリーが1989年に体制転換して以降6人目、女性としては初の大統領となった。

大統領はハンガリー国防軍の最高司令官でもあり、大臣や大使の任命権を持つ。また、その権限において、議会が可決した法案について、憲法との適合性に関して疑義がある場合には、署名前に憲法裁判所に審査を求めるか、または議会に差し戻して審議を要求することができる。任期は5年で再選は1回のみ可能。

ノバーク氏は国会での大統領選任投票前の立候補演説で、国家の主権や憲法擁護、女性や家族の役割の重要性を強調した。また、女性政治家として「女性が職業人生を大切にするために、家庭を持つことをあきらめる必要はない」と強調するなど、仕事とともに女性としての役割を続けていくことに力点を置いた。さらに、大統領として「平和の人でありたい」とも強調し、ロシアがウクライナに対して始めた戦争を「弁護できず、正当化もできない」と非難した。

次期大統領については、2021年12月の段階でオルバーン・ビクトル首相〔与党・ハンガリー市民同盟(フィデス)党首〕が人口問題の取り組みの責任者であるノバーク氏を指名していた。ノバーク氏は45歳。法律と経済の学位を持ち、3人の子供の母親で、家族政策担当相時代には子育て支援のための減税やローンの導入(注)など、重要な家族支援策を推進してきた。

大統領選任投票でノバーク氏は137票を獲得し、野党側のペテル・ローナ候補(79歳、オックスフォード大学教授、元ハンガリー国立銀行監督委員)の51票を大きく上回った。

新大統領の就任は、アーデル・ヤーノシュ現大統領の任期が切れる5月10日の見通し。アーデル大統領は2012年からの2期10年間の任期中、特に環境保護や水資源の保全に力を入れてきた。

ハンガリー総選挙は4月3日に行われる予定で、12年間続いたフィデスとキリスト教民主国民党(KDNP)の連立政権継続の是非が問われることとなる。

(注)減税は、子供が4人以上の母親を対象として、所得税を免除するもの。ローンは、無利息の1,000万フォリント(約350万円、1フォリント=約0.35円)。どちらかが初婚で結婚している夫婦が対象で、3人の子供が生まれれば返済不要。いずれも2019年7月に導入した。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー)

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