米議会で郵政公社改革法案が可決、今後10年で約500億ドルのコスト削減へ

(米国)

ニューヨーク発

2022年03月14日

米国上院は3月8日、米国郵政公社(USPS)の改革法案を可決した。同法案は2月8日に下院を通過しており、ジョー・バイデン大統領の署名を経て発効となる。上院は賛成79、反対19、下院は賛成342、反対92で可決し、超党派での可決となった。

USPSは日本の郵便事業に当たる組織で、1日平均4億2,530万の郵便物を配達しており、輸送インフラの根幹となっている。加えて、郵便サービスの従事者は730万人以上、産業規模は1兆6,000億ドルとなっており、産業としても裾野が広い。しかし、郵便サービス利用者の減少によって2000年代に入ってから赤字経営が続いており、2021年は69億ドルの純損失を計上するなど、事業改革が課題となっていた。

今回の法案は、USPSに対して、これまで財務を圧迫していた職員退職後の医療保険給付と年金給付のための事前積み立て義務を廃止し、退職者に公的医療保険メディケイドへの加入を義務付けることで、今後10年間で約500億ドルのコスト削減を図るとしている。一方で、USPSが現在行っている週6日の配送の維持を求めるとともに、オンライン上で郵便番号別の配送状況が確認できる体制整備を義務付け、公共性の維持・向上と事業の持続可能性を担保する。

なお、USPSは2月に、郵便配達用の車両として今後10年間で5万~16万5,000台のトラック購入を決定しているが、そのうち約9割をガソリン車、残り1割程度を電気自動車(EV)にする予定だ。環境保護庁などは購入車両の大部分をEVにするよう再三要請したが(ブルームバーグ2月2日)、USPSのルイス・デジョイ総裁は「われわれの脆弱(ぜいじゃく)な財務状況や車両購入の緊急性、車両の安全性を考慮すれば、EV採用はわれわれにとって野心的と判断した」と述べている。USPSには経営の独立性が認められており、バイデン政権の権限は一定程度に限られている。同法案の成立によりUSPSの改革がうまくいくか、今後の動向に注目が集まる。

(宮野慶太)

(米国)

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