欧州産業連盟、EUのエネルギー自給推進や防衛力強化が必要と訴える

(EU)

ブリュッセル発

2022年03月11日

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は3月9日、特別欧州理事会(EU首脳会議)が3月10、11日にフランス・ベルサイユで開催されるのを前に、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対するEU首脳の対応を支持し、EUへの提言をまとめたメッセージPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。ビジネスヨーロッパはウクライナへの連帯を重ねて示すとともに、産業界は欧州の平和と繁栄のため、EU首脳と協力するという決意の下に団結していると述べた。その上で、(1)EU加盟国の結束と米国などとの協調関係を維持し、対ロシア制裁、サプライチェーンの混乱への対応などに引き続き取り組むこと、(2)エネルギー自給の推進と供給元の多様化、(3)防衛力の強化などが必要だと訴えた。

ビジネスヨーロッパは「EUの強みは欧州の価値観に基づいた経済力だ」として、EU経済自体への対応が最重要と指摘。より強靭(きょうじん)な欧州経済の構築と、インフレやエネルギー、原材料価格の高騰といった今回の危機の副次的効果の緩衝に向けて、信頼できないサプライヤーへの供給依存を減らし、価値観を共有するパートナーとの連携強化とサプライチェーンの多元化が必要だとした。そのほか、メルコスール、メキシコ、チリなどとの自由貿易協定の批准や、米国や英国などとの通商関係の深化を通じて、EU企業の競争力強化と新規市場開拓が必要だとした。

エネルギー、防衛分野でのEUの自立、対応強化が必要と主張

エネルギー分野について、ビジネスヨーロッパは、EUは域内市場の強化と供給元・ルートの多様化を早急に進め、価格の高騰に加盟国間で連携して対応し、送電ネットワーク構築の促進を図るほか、短期的には一般消費者と企業向けの措置が必要だとした。また、欧州グリーン・ディールを推進し、再生可能エネルギーなど低炭素エネルギーの導入を加速するべきだとした。ただし、エネルギーの安定供給や経済への悪影響の回避のため、実行可能な行動計画に基づく現実的なエネルギー政策が必要だとクギを刺した。さらに、エネルギー関連の産業プロジェクト展開や新たな技術活用を推進するため、EUと加盟国当局に対して、産業プロジェクトやエネルギー生産、インフラ整備関連事業の認可プロセスの簡素化、迅速化を求めた。

防衛分野については、加盟国が安全保障、防衛分野の取り組み方の相違を互いに尊重しながらも、国連やNATOといった枠組みの協力体制を強化しつつ、EUの防衛政策の進展を加速していることを歓迎。各国が積み増した関連予算を有効に活用する必要があり、加盟国間で大幅な調整を進めることで、防衛部門の公共調達における経済効果をEU全域に公正に波及できるとした。また、研究開発などでの公的部門と民間部門の相乗効果を高めるべきであり、欧州市民の安全や繁栄にとって、防衛、航空宇宙関連産業部門は必要不可欠の役割を持つと強調。同部門の民間金融市場での資金調達をより容易にすべきであり、サイバーセキュリティー分野の対応力強化も必要だと指摘した。

(滝澤祥子)

(EU)

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