IT産業発展に日本企業と連携を、IT業界団体に聞く

(バングラデシュ)

ダッカ発

2022年03月24日

バングラデシュ政府は、2021年に「デジタル・バングラデシュ&ビジョン2021」を掲げ、同国の社会開発および経済発展の促進を目的とし、デジタル化を目指している。同政策策定の背景として、バングラデシュはIT人材が非常に豊富なことがあり、オックスフォード・インターネット研究所の調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2021年)によると、世界のITフリーランス人口の10~15%はバングラデシュ出身という。政府の推計では、国内に約60万人のITフリーランサーがいるとされており、同政府はIT産業の推進やIT人材の活用に積極的に取り組んでいる。また、政府の方針に基づき、バングラデシュ・ソフトウエア情報サービス協会(BASIS)は同産業の発展を目指している。BASISのアブー・ダウッド・カーン副会長、AKMアメドゥル・イスラム・バブ理事、イッサ・モイヌッディン事務局長にBASISの取り組みと活動方針について聞いた(3月15日)。

(問)BASISの取り組みについて。

(答)BASISは現在、5つの重点事業を設定している。1つ目は、バングラデシュIT産業の海外へのプロモーションだ。2021年はIT関連の輸出額は14億ドルだったが、2025年までに50億ドルを達成することを目指す。2つ目は、内需拡大だ。「新型コロナ禍」ということもあり、Eコマースなどインターネットを前提としたビジネス分野が大きく成長しており、それに伴い国内ITマーケットが拡大している。今後は国内IT市場も推進していきたい。3つ目は、バングラデシュのIT産業自体のブランディングやITハブとしてのPRを国内外で進めていくこと。4つ目は、スタートアップ企業の育成だ。バングラデシュでは、スタートアップ企業の成長が著しく、ITを活用したサービス展開が前提となっているため、スタートアップ企業の成長を支援したい。そして最後は、国内のIT人材育成を推進していくこと。IT人材のスキルアップを図り、より専門性を高めていきたい。

(問)BASISが日系企業に期待することは。

(答)BASISは前述した重点分野において、日系企業との連携を希望している。また、ITサービスのオフショア開発拠点としての同国の活用や、スタートアップ企業への投資、人材育成における支援も日系企業に期待している。特に、オフショア開発拠点としての連携促進を目的として、2020年にBASIS内に「ジャパンデスク外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を立ち上げた経緯もある。本ジャパンデスクを通じて日系企業とのマッチング事業を増進させ、バングラデシュのIT企業と日系企業が連携できる機会を増やしていきたい。

(問)今後の事業予定は。

(答)BASISは2022年10月にダッカでソフトウエア・エキスポの開催を計画しており、バングラデシュIT企業が出展予定だ。バングラデシュはソフトウエア開発からAI(人工知能)、ブロックチェーンまで幅広いITサービスの開発が可能となっており、日本からの視察は、バングラデシュのIT産業の可能性について知ってもらう好機会になると考えている。

写真 (右から)アブー・ダウッド・カーンBASIS副会長、アメドゥル・イスラム・バブ理事、イッサ・モイヌッディン事務局長(ジェトロ撮影)

(右から)アブー・ダウッド・カーンBASIS副会長、アメドゥル・イスラム・バブ理事、イッサ・モイヌッディン事務局長(ジェトロ撮影)

(安藤裕二)

(バングラデシュ)

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