英国、カナダとの新たなFTA締結に向けて交渉を開始

(英国、カナダ)

ロンドン発

2022年03月29日

英国政府は3月24日、カナダとの新たな自由貿易協定(FTA)の締結に向けた交渉を開始外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますするとともに、交渉方針外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。英政府のアン・マリー・トレビリアン国際通商相は、カナダのメアリー・エング中小企業・輸出振興・国際貿易相を訪問し、互恵的な貿易関係強化に向けた会談を正式に開始するとした。

今回の新FTAは、EUから継承した「英国・カナダ貿易継続協定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2020年11月25日記事参照)のメリットを踏まえた上で、イノベーション、デジタル、データ、環境、女性の経済的エンパワーメントなどの分野をさらに推し進めたものにするとしている。

国際通商省の3月18日付の発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2020年10月~2021年9月の両国の貿易額(財、サービス)は220億ポンド(約3兆5,420億円、1ポンド=約161円)。うち、対カナダ輸出は120億ポンドで、2019年10月~2020年9月比0.2%増と微増だった一方、カナダから英国への輸入は101億ポンドで、財輸入の大幅増により58.9%増と大幅に伸長している。

英国政府が挙げる新たなFTAによる主なメリットは以下のとおり。

  • 英国のサービス提供事業者のカナダでの取引を容易にし、研究開発や法律サービス、金融などの分野を利することで、英国のサービス部門を強化
  • 特に中小企業に対し大きな影響をもたらす、手続きや管理などの輸出事業者への障壁を削減
  • カナダからの対内投資を促し、英国内の雇用創出を支援
  • 女性が貿易のメリットを全面的に享受できるように支援
  • グリーン貿易を促進し、パリ協定などのコミットメントを支援することで、気候変動対策における協力を強化

トレビリアン国際通商相は、同FTAを通じ、英国が強みを持つサービス業の促進や、生活水準向上のほか、気候変動、女性の経済的エンパワーメントに向けた取り組みにおいて他国の導き手となることを目指すとした。

(オステンドルフ・七海・ありさ)

(英国、カナダ)

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