上海市が新型コロナ感染拡大受け対策を強化

(中国)

上海発

2022年03月15日

中国・上海市で、新型コロナウイルスの感染が拡大している。中国はこれまで、感染者が多く見つかった国際線を順次運航停止にすることで感染の流入を防いできたが、香港と中国本土を結ぶ便の運航は維持してきた。しかし、香港で感染が急拡大したため、香港からの感染流入が急増。さらに、渡航者の集中隔離措置に使われていたホテルの関係者から感染が拡大した。3月1日から3月14日までに、上海市内で90人の確定症例と、762人の無症状感染者が確認されており、上海市は感染防止対策を強化している。

上海市政府は3月12日、上海市民に対して不必要に上海市から出ないよう要請するとともに、上海市に出入りする場合は、48時間以内のPCR検査陰性証明を求めると通知した。また、3月14日から、上海市の市をまたぐバス運行停止となったほか、閔行区や静安区などでは、レストランでの店内飲食が禁じられた。

PCR検査による陽性者のあぶり出しも急ピッチで進む。3月11日から13日にかけて、市内全ての学校と小売・飲食業を対象にPCR検査が実施された。政府は臨時のPCR検査場を増設したが、検査を待つ人の長い列ができた。また、本来は休校日である土曜日に生徒が登校し、検査を受ける姿も見られた。

さらに、陽性者や濃厚接触者の急増に伴い、市内の広い範囲で封鎖措置が取られ、多くの市民が出勤や買い物のための外出ができない状態となっている。在上海の日系企業に聞いたところ、3月14日は、市内各地の封鎖措置の影響を受け、半数近くの従業員が出勤できなかったという。上海市では、居住区やオフィスビル、商業施設などで陽性者や濃厚接触者が発見されると、その建物単位あるいは街区単位で瞬時に封鎖措置が取られる。封鎖区内にいる市民は全員PCR検査を受けるとともに、48時間から14日間の隔離を強いられることとなるため、生活への影響が大きい。

企業も速やかに対応を進める。市外への出張を取りやめるほか、3月7日ごろから多くの企業が在宅勤務に切り替えを行っている。従業員が通勤時に感染する可能性やオフィスが、急に封鎖措置の対象となるリスクなどを踏まえた措置だ。

また、上海市政府の指示により、3月12日から、上海市全ての小・中学校においてオンライン授業に切り替えとなった。

上海市周辺の地域でも、上海市からの入境者に対する隔離措置が出されている。蘇州市の工業園区、相城区、高新区などでは、上海滞在歴がある人に対して3+11の健康管理措置(3日間の自宅健康観察および2回のPCR検査+11日の健康観察および7日目と14日目にPCR検査)を実施する(「新浪網」3月11日)。

(天野沙羅)

(中国)

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