在英日系企業に聞く新型コロナによる物流混乱の影響、輸送コストは上昇

(英国)

ロンドン発

2022年03月09日

世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に起因する港湾混雑、コンテナ不足や輸送コストの高騰は、英国の物流や製造業にも影響を与えている。ジェトロによる在英日系企業へのヒアリング結果概要報告の2回目(1回目は2022年2月15日記事参照)。今回話を聞いた2社によれば、2021年以降英国のEU離脱の影響などもあり、輸出入にかかる輸送コストは上昇している。他方、英国内の陸路輸送の遅れの有無については見方が分かれた。各社の見方は以下のとおり。

〇製造業者(A社)(2月15日ヒアリング)

  • 2020年12月ごろからブレグジットの影響が出始め、その後新型コロナウイルス感染拡大で状況は悪化し、船便の遅れ、コンテナ不足など影響が出た。
  • 船便料金は、2021年1月ごろから高騰、日本発のコンテナ価格はこの2年間で10倍以上となっている。
  • 陸路輸送については、英国工場からの出荷分は遅れの影響はないが、サウサンプトン港から英国工場への輸送については、平時は約1週間のところ、ドライバー不足の影響からか現在3~4週間ほど要している。
  • 出荷スケジュールは、顧客に状況を説明し理解を得ている。
  • 2022年以降、EUからグレートブリテン島への輸入時に完全な通関申告が必要になり、物流の遅れは見られないものの、原料費や電気代の上昇も相まって、コストは10~15%増えた。

〇製造業者(B社)(2月25日ヒアリング)

  • 航空便で、ベルギーとドイツから英国に輸入。同ルートは2021年から遅れが発生。当時は週5回送るとそのうち4回は税関で止まっていた。2021年秋ごろから遅れは改善し始めたが、現在でも10回送ると2回程度止まることがある。
  • 税関で止まってしまうと、早い場合は翌日通過するが、長い場合は1週間を超えて留め置かれるため、英国内の在庫を増やして、大陸側からの輸入頻度を落として対応している。
  • 航空便の便数は減っているものの、混みあっていて送れないという状況ではない。
  • 空港から英国拠点への陸路輸送については遅れの影響はない。

(宮口祐貴)

(英国)

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