新型コロナ感染沈静化で4月1日から入国時の隔離義務を撤廃

(シンガポール)

シンガポール発

2022年03月25日

新型コロナウイルスのシンガポール政府タスクフォースは3月24日、国内感染状況の沈静化を受けて4月1日から、全ての国・地域からの渡航者について、ワクチン接種を完了していれば入国時の隔離義務を原則撤廃すると発表した。同国ではオミクロン型変異株により1日当たりの新規感染者はピーク時(2月22日)に2万5,000人を突破したが、3月23日に新規に確認された感染者は8,940人へ減少。同月時点で、3回目のワクチン接種を完了した人は人口の71%となっている。

同国では2021年9月から、ワクチン接種者を対象に、相互に隔離なしの渡航が可能な「ワクチン・トラベルレーン(VTL)」を導入。3月24日までに32カ国・地域との空路でのVTLと、インドネシアのバタム島、ビンタン島との海路でのVTLを段階的に設置した。発表によると、4月1日からVTLを廃止し、代わりに渡航規制リストにある国・地域に過去7日間滞在していない全てのワクチン接種完了者(注1)について、隔離なしの入国を基本的に認める「ワクチン接種完了者渡航フレームワーク」に切り替える。3月24日時点で渡航規制リストに入っている国・地域はない。また、4月1日から、VTLを使って入国する際に外国人短期渡航者に取得を義務付けていたワクチン・トラベルパス(VTP)、または中国、マカオ、台湾からの外国人に事前取得を求めていたエア・トラベルパスも廃止する。ただし、全ての国民を含む入国者に対する入国48時間以内の検査義務は維持する(注2)。

イスワラン運輸相は同日の会見で、今回の水際対策の緩和により、空路での入国者数を2022年末までに少なくとも新型コロナウイルス感染拡大前の50%の水準まで回復を目指すと述べた。

屋外でのマスク着用を任意に、集会の人数上限も10人に引き上げ

政府タスクフォースは同日、国内の感染防止対策を3月29日から一段と緩和すると発表した。集会や飲食での人数上限を現行の5人から10人へと引き上げる。飲食店でのアルコール飲料の提供は、現行は午後10時半までとしていたが、この時間制限も撤廃する。職場では、在宅勤務が可能な社員の出社上限を現行の50%から75%へと引き上げる。さらに、屋内や公共交通機関内でのマスク着用を引き続き義務付けるが、屋外についてはマスク着用を任意とする。

(注1)12歳以下の子どもはワクチン接種が義務付けられていない。12歳以上のワクチン接種完了者と認定されるワクチンの種類と回数については、入国管理局(ICA)のホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注2)入国前の検査は、認定医療機関によるPCR検査、またはART検査。ただし、オーストラリア、インド、EU、中東諸国、英国、米国に滞在していた国民、永住権者、就労査証保持者については、保健省が認定した民間診療所が提供するオンラインでの検査も認める。詳細は保健省のページPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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