IMF理事会がアルゼンチンへの約440億ドルの支援を承認

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年03月30日

IMF理事会は3月25日、アルゼンチンに対する約440億ドルの拡大信用供与措置(EFF)による支援を承認した。支援期間は2024年9月までの30カ月間。これにより、アルゼンチンの国際収支の改善と国家予算を支援する。アルゼンチンにおける、債務の持続可能性の強化、高インフレへの対処、外貨準備の増強と国際金融市場への復帰、インフラギャップの解消、経済成長の促進を目指す。

承認後は、約97億ドルが即時に融資される。これにより、危機的水準にあった外貨準備高は一時的に回復することが見込まれる。以後、3カ月ごとにアルゼンチン政府とIMFが合意した経済政策プログラムの状況がレビューされ、レビューごとに融資が実行されることになる。融資期間は、融資実行日から4年間の猶予期間を含む10年間で、返済は2026年から始まる。

IMFと合意した経済政策プログラムには、財政赤字の解消とそのための税収の改善、補助金の削減、中央銀行による国庫への財政ファイナンスの削減などが含まれる。基礎的財政収支赤字の目標は、2022年はGDP比2.5%、2023年は1.9%、2024年は0.9%。2025年には収支を均衡させることを目指す。税収は、既に高い法定税率を考慮し、徴税における累進性を導入するなどして改善を図る。また、財政支出の方向転換を図り、エネルギー補助金、州政府や国有企業への補助金を削減してインフラ支出などに振り向ける。中銀による財政ファイナンスは、2022年にGDP比1%、2023年に0.6%、2024年に0.0%と段階的に縮小する。なお、労働市場など経済構造改革はプログラムに盛り込まれなかった。

IMF理事会は、ウクライナ情勢による世界経済への影響を受けて、「アルゼンチンへの支援プログラムへのリスクは例外的に高くなっている」「必要に応じて適切かつ早期の支援プログラムの再調整は不可欠」と述べており、今後、アルゼンチンへの支援の内容が見直される可能性がある。

なお、3月末までとされていた対パリクラブの債務再編については、交渉期限を6月までに延長することになっている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

ビジネス短信 2935fdd892813c62