自動車販売台数は増加、労働者確保に改善の兆し、米シカゴ連銀ベージュブック

(米国)

シカゴ発

2022年03月10日

米国連邦準備制度理事会(FRB)が3月2日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)の中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、1月から2月初旬にかけての同地域における経済活動について、緩やかに(moderately)向上したものの、労働力や資材の供給不足、新型コロナウイルスの感染拡大が引き続き景気拡大の足かせになっていると報告した。

同地域の経済活動を分野ごとにみると、雇用に関しては、大幅に(strong)増加した。熟練、非熟練を問わず労働者を見つけるのが困難な状況が続いているが、2021年第4四半期よりは労働者を見つけやすいとの報告もみられた。また、オミクロン株感染のまん延により欠勤が増えているものの、以前に比べると労働者の復帰は早いと指摘した。

個人消費は、控えめに(modestly)増加した。オフィス家具や建材、家電のほか、外食需要の減少により食料品の売り上げが増加しているとの報告がみられた。自動車販売台数は若干増加し、オミクロン株感染による影響を受けつつも期待を上回った。

企業支出は、控えめに(modestly)増加した。小売在庫は、国内外のサプライチェーンの課題により多くのセクターで低水準にとどまっており、2022年後半まで続くとみられ、中でも、アパレルや食品・飲料の在庫は特に逼迫していると報告した。

製造業の活動は、控えめに(modestly)増加したが、労働力を中心とした投入資材の確保が難しく、生産増は限定的との報告がみられた。自動車生産台数は、マイクロチップなどの部品不足によりわずかに減少した。

農業分野に関しては、農産物価格の上昇により2022年の所得向上の期待が高まった。肥料、除草剤などの投入コストも上昇し、さらにサプライチェーンの問題により、作付け時期に入手できるか懸念する声がみられた。

個々の調査対象項目ごとのポイントは添付資料参照。

(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、銀行からの報告や、ビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。

(注2)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部。

(小林大祐)

(米国)

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