南部ロンアン省、無症状感染者・濃厚接触者を出勤可能に

(ベトナム)

ホーチミン発

2022年03月18日

ベトナム南部ロンアン省人民委員会は3月8日、新型コロナウイルス感染症の感染者(F0)と濃厚接触者(F1)は、所属機関・企業の長の同意があれば、出勤可能とする文書(2015/UBND-VHXH)を出した。3月14日付でロンアン省のベトナム共産党機関紙であるベトナムロンアン新聞などが報じた。

同文書によれば、政府機関、地方政府、民間企業に勤務する職員がF0(ただし無症状であること)またはF1になった場合、隔離期間(F0の場合、陽性判明後から1週間)に該当しても、重要かつ緊急性の高い業務を遂行するために出勤することが可能となる。出勤は強制ではなく、職員の自発的意思に基づくこと、機関の長や企業の代表者の同意があること、地区の保健機関の指示に従うことなどが条件だ。政府機関、地方政府では、重要な任務を担う職員が想定されており、民間企業については、労働力が不足し、期限内に契約などの履行ができない場合などが想定されている。勤務形態については、オンラインを優先することとし、それでも対応できない場合に、職場への通勤を認める。

F0(無症状)やF1については、自家用の交通手段で自宅など隔離場所と職場を往復する。移動中は周囲の人との接触を避け、勤務中は、感染対策(5K、注)を厳格に実施し、周囲の人とは別の執務スペースで勤務し、接触を避けることが求められる。また、健康状態を観察し、異状があれば迅速な治療を受けるため、直ちに医療機関へ連絡することが必要だ。

今般の措置は、ロンアン省によれば、感染防止・管理対策を効果的に実施しつつ、「ウィズ・コロナ」期のニューノーマル(新常態)への移行を図る政府決議128号(128/NQ-CP)(2021年10月19日記事参照)に適合するもの。同省人民委員会のファム・タン・ホア副委員長は「オミクロン変異株の出現以降、ロンアン省内では感染者数は増加している。特に、旧正月以降、多くの企業・機関が労働不足に直面している」と背景を説明した。同省内で、企業をはじめ関係者から十分なコンセンサスが得られており、当面、試行的な位置づけの下で実施し、状況を注視した上で適切に調整するとしている。

(注)5Kとは、「マスク着用」「消毒」「距離の確保」「密集しない」「医療申告」。5対策それぞれの頭文字がベトナム語でいずれもKのため、こう称される。

(比良井慎司)

(ベトナム)

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