トルコの2021年の実質GDPは11.0%の高成長

(トルコ)

イスタンブール発

2022年03月07日

トルコ統計機構(TUIK)の発表(2月28日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2021年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率は、ほぼ市場予測どおりの前年同期比9.1%となった。季節・日数調整後の成長率(前期比、年率換算)では1.5%だった。これにより、2021年通年の実質GDPは前年比11.0%の高成長となり、政府目標の9.0%を上回った。

第4四半期の成長率を支出項目別にみると、GDPの最大項目である家計最終消費支出は、前年同期比で前期の9.1%増から21.4%増となり、成長を強く牽引した。背景には、インフレ懸念による耐久消費財や半耐久消費財への駆け込み需要があるとみられる。個人消費とともに押し上げ要因となったのは輸出で、前期から減速傾向がみられるものの、20.7%増だった。他方、輸入も2.6%増となり、純輸出の寄与度は鈍化した。民間投資を含む総固定資本形成は、建設の回復が遅れており、0.8%減だった。

生産部門別にみると、工業(前年同期比10.7%増)が2桁成長に戻り、サービス(16.7%増)も前期からは減速したものの、プラス成長だった。また、第2四半期にマイナス成長となった金融・保険業も回復をみせている。他方、「新型コロナ禍」以前に成長を牽引した建設は、なおマイナス成長が続いている。

2021年通年の実質GDP成長率11.0%は、10年ぶりの急成長となる。その背景には、世界の「新型コロナ禍」からの需要回復に伴う輸出の急増、下半期にみられた家計最終消費支出の急増、これらに伴う機械設備投資の回復など、経済活動の再活性化がある。

2021年の名目GDPは8,027億ドルと、前年の7,169億ドルから増加した。1人当たりGDPでは9,539ドルとなり、前年の8,597ドルから回復したものの、2013年のピーク時の1万2,582ドルには届いていない。

ヌーレッディン・ネバーティ国庫・財務相は、高成長について「トルコはG20やEUなどの中で、最も急速に成長している経済だった」とし、「トルコの経済モデルは、安定した成長を維持することを約束している」と称賛した(現地報道)。他方、エコノミストの間では、通貨リラ急落によるインフレ高進の勢いは衰えておらず、ロシアのウクライナへの軍事行動がエネルギー価格の急騰やトルコの観光部門の低迷につながるなど、悪い条件が重なっているとし、2022年の急減速は避けられないとみる向きもある。

(中島敏博)

(トルコ)

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