世界最大級モバイル展示会「MWC」が3年ぶりのリアル開催

(スペイン)

マドリード発

2022年03月04日

世界最大規模の移動体通信展示会「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が2月28日から3月3日にかけて、スペインのバルセロナ市で開催された。同展示会は、来場者の半数以上が役員や幹部級らで占められ、大手通信事業者や機器ベンダーのハイレベル商談、業界キーパーソンによる最新モバイル動向に関する講演が毎年、注目される。

来場者は過去最高時の6割まで回復

主催者の移動体通信業界団体GSMAの発表によると、今回は約200カ国・地域から6万人以上の来場者が訪れた。出展者などの参加企業は1,900社以上にのぼり、例年の大手出展者のほとんどが出そろった。各国政府もカントリーブースを出展していたが、ロシアに関しては、ウクライナ侵攻を理由に、主催者側が直前に出展を拒否した。

MWCは、2020年は新型コロナウイルス感染拡大により急きょ開催中止となり(2020年2月14日記事参照)、2021年もハイブリッド形式の小規模な開催となっていた。今回は3年ぶりのリアル開催となった。感染拡大前年の2019年開催時の来場者数10万7,000人、出展者数2,400社と比べると、6割程度の規模感だ。しかし、オミクロン株の収束がみえつつある中、入場者へのワクチン接種など証明書提示やFFP2マスクの着用義務付け、密集回避といった万全の感染予防措置を実施し、着実に規模を回復させることができた、と評価されている。地元紙「EL PAÍS」によると、同展示会は、バルセロナに2億4,000万ユーロの経済効果をもたらした。地元ホテル業界団体によると、バルセロナ都市圏のホテル全体の80%が稼動を再開しており、客室占有率も65%まで回復したという。

日本企業のプレゼンスも復活

日本からは富士通やNECなどの大手企業が出展したほか、総務省が設けた日本ブースに、ICT(情報通信技術)関連製品・サービス企業10社が出展した。

また、MWCと併催され、2022年で8回目を迎える欧州最大級のスタートアップイベント「4 Years From Now外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」には、500社を超えるスタートアップ企業が参加した。ジェトロは日本のスタートアップ企業13社からなるジャパン・パビリオンを出展し、各社が技術・製品を売り込むとともに、ピッチセッションやメディアイベントへの参加を通じて、日本のイノベーションを紹介した。

最終日となる3月3日、地元バルセロナのビジネススクールESADE(エサーデ)が開催する「ESADE’S CHOICE: BEST STARTUP AT 4YFN 2022」において、出展企業のONE ACT(ワン・アクト)が開発運営するソースコード取引所「PieceX」が最優秀3社に選ばれるなど、日本発スタートアップの存在感を示した。

写真 「4YFN」ジャパン・パビリオン(ジェトロ撮影)

「4YFN」ジャパン・パビリオン(ジェトロ撮影)

写真 「4YFN」でピッチを行う日本のスタートアップ企業(ジェトロ撮影)

「4YFN」でピッチを行う日本のスタートアップ企業(ジェトロ撮影)

(伊藤裕規子)

(スペイン)

ビジネス短信 14796e6b699c4101