IEA、ガスの脱ロシア依存に向けた10の計画をEUに提言

(世界、EU、ロシア)

国際経済課

2022年03月04日

国際エネルギー機関(IEA)は3月3日、EUのロシアへの天然ガス依存を削減するための10の計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。ロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシアからの天然ガス輸入に大きく依存するEUに対し、今後のEUのエネルギー市場への影響緩和を図るため、今後1年でEUが取るべき対応策としてIEAが提言したもの。IEAが提言した10の計画は以下のとおり。

(1)ロシアとの新たなガス供給契約を結ばない

(2)ガス輸入国をロシアから他国に切り替える(1年で300億立方メートルの脱ロシア依存の効果〕

(3)最低限のガス貯蔵義務を導入する

(4)新規の風力・太陽光プロジェクトの導入を加速化させる(同60億立方メートルのガス使用削減効果〕

(5)バイオマスや原子力発電活用を最大化させる(同130億立方メートルのガス利用削減効果〕

(6)(ガス価格上昇による電力需要の高まりを背景とした)高い電力価格から脆弱(ぜいじゃく)な電力消費者を守るため、(電力事業者の)想定外利益に対する短期的な課税措置を講じる

(7)ガスボイラーのヒートポンプへの切り替えを加速化させる(同20億立方メートルのガス使用削減効果)

(8)建物や産業部門におけるエネルギー効率化を加速化させる(同20億立方メートルのガス使用削減効果)

(9)消費者に対して暫定的に(室内の)サーモスタット(温度自動調節器)の温度を1度下げるよう促す(同10億立方メートルのガス使用削減効果〕

(10)柔軟な対応が可能な電力システムの多様化、脱炭素化の取り組みを強化する

IEAによると、EUは2021年、1,550億立方メートルの天然ガス(パイプライン経由、LNGを含む)をロシアから輸入している。EUのガス輸入量の45%、消費量の40%に相当する。2022年にこれらの10の計画を行うことで、EUはロシアからのガス輸入量を3分の1超(500億立方メートル以上)削減することが可能という。

IEAのファティ・ビロル事務局長は「ロシアが天然ガスを経済・政治的な武器として使用しており、欧州は来年の冬のロシアからのガス供給の高い不確実性に迅速に対処する必要がある」と述べ、「欧州エネルギー市場におけるロシアの独占的な役割を縮小させ、できるだけ早く代替となる対応策を拡大させる必要がある」と、EUに対策を急ぐよう促した。

同提言について、欧州委員会のカドリ・シムソン委員(エネルギー担当)は「ロシア産ガスからの脱却は、EUにとって戦略的な必要事項(目標)だ。IEAの提言には、EUが掲げる目標に向けた、数多くの具体的な対策が盛り込まれている」と述べた。

(古川祐)

(世界、EU、ロシア)

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