ポーランド首相がウクライナ訪問、対ロシアで協力強化へ

(ポーランド、ウクライナ、ロシア)

ワルシャワ発

2022年02月08日

ポーランドのマテウシュ・モラビエツキ首相は2月1日、ウクライナの首都キエフを訪問し、デニス・シュミハリ首相、ボロディミル・ゼレンスキー大統領とそれぞれ会談を行った(ポーランド政府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。今回の訪問は、ロシアとウクライナの国境付近での軍事的緊張の高まりを受けたもので、防衛やエネルギー分野での協力強化と新たな地域的なパートナーシップの開始について議論を交わした。

ポーランドは既にウクライナに対して人道支援を開始しており、間もなく砲弾や迫撃砲、グレネードランチャーなどの軍事装備も提供することが表明されている。モラビエツキ首相は2月4日に軍事機器メーカーを訪問した際に「安全なウクライナはポーランドと欧州にとって非常に重要」と強調している。なお、ポーランドは欧州安全保障協力機構(OSCE)の議長国として、国際社会によるウクライナへの支援も求めている。

ポーランド経済研究所は、ロシアがウクライナに侵攻した場合、ポーランド経済に悪影響を及ぼすと予想している。実際に、ドンバス戦争が勃発した2014~2015年には、ポーランドからウクライナへの輸出は30%減少し、ロシアへの輸出は37%減少した。ウクライナはEU域外でのポーランドの輸出先として第4位(2020年)、輸出する主な商品は自動車やプラスチック製品、化学製品、肥料となっている。一方、ロシアは依然として、ポーランドにとってエネルギー資源の主要供給元だ。ロシア政府はエネルギー供給を制限することで既にEU諸国に圧力をかけているが、EU諸国によるウクライナへの支援を阻止するために供給を停止する可能性もある。また、ウクライナへの投資を国別にみると、ポーランドは4番目に多い国になっており(2020年)、ウクライナとロシアの軍事的な緊張の高まりは、ポーランドからウクライナへの投資に対する潜在的な脅威でもある。同研究所は、地域の政治的な投資リスクの増大が中・東欧の通貨の弱体化につながり、その結果、通貨ズロチの為替レートの低下がインフレの圧力を高める可能性もあるとみている。

(今西遼香、マルタ・ゴロンカ)

(ポーランド、ウクライナ、ロシア)

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