鉄鋼業界のイノベーションや合併・統合を目指す指導意見を発表

(中国)

北京発

2022年02月14日

中国の工業・情報化部、国家発展改革委員会、生態環境部は2月7日、「鉄鋼業の質の高い発展促進に関する指導意見」(工信部聯原〔2022〕6号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、意見)を公布した。同意見は、中国の鉄鋼業界には依然として、生産能力過剰、産業の安全保障能力の不足、グリーン・低炭素化のレベルに改善の余地がある点、産業集中度が低いなどの課題があることを踏まえ、これらの課題を克服し、質の高い発展を促進するため定められたもの。

意見は、(1)イノベーションによる発展、(2)生産総量のコントロール、(3)グリーン・低炭素、(4)過剰生産能力削減政策の安定的実施や需給バランスの適正化に向けた統一的・協調的計画の立案・実施、の4つを基本原則としつつ、2025年までに業界の売上高研究開発費率1.5%、コアとなる(製造)工程のデジタル化制御率80%、生産設備のデジタル化率55%の達成、および30以上のスマート工場の建設などを目指す。また、鉄鋼生産設備の80%以上を超低炭素排出のものに改良し、2030年までのカーボンピークアウトを確実なものにすることを掲げている。

その他、主要活動の1つとして、企業の合併・統合による世界トップレベルの大型鉄鋼企業グループ形成が示されている。ステンレス、特殊鋼、シームレス鋼管、鋳鉄管などの分野で各1~2社のリーダー企業を育成する。特に北京市、天津市、河北省とその周辺地域のホットコイル企業などを合併・統合に導くとしている。

国家統計局によれば、2020年末時点で中国内の一定規模以上(注)の鉄金属圧延・冶金(やきん)企業は5,307社となっている。蘭格鋼鉄研究センターの王国清主任は「今後5年間は合併・統合が加速する。合併・統合は、中国の鉄鋼業界発展のための主要な手段になるだろう」(「上海証券報」2月8日)としている。

(注)年間の主要業務による売上高が2,000万元(約3億6,000万円、1元=約18円)以上の工業企業。

(河野円洋)

(中国)

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