中国企業5社が新型コロナ経口治療薬「モルヌピラビル」の後発薬を生産可能に、低・中所得国向けに供給へ

(中国)

北京発

2022年02月01日

医薬品特許プール(MPP、注1)は1月20日、中国企業5社を含む各国の後発薬メーカー27社と、新型コロナウイルスの経口治療薬「モルヌピラビル」の生産と低・中所得国105カ国(注2)への供給に関するサブライセンス契約を締結したと発表した。中国企業5社のうち、上海復星医薬、博瑞生物医薬、石家庄龍澤製薬股份、上海迪賽諾生物医薬の4社はモルヌピラビルの原料および最終製品の生産許可を、維亜生物科技傘下の浙江朗華製薬は原料の生産許可を得た。なお、発表によれば、モルヌピラビルを開発した米国製薬大手メルク、米国リッジバック・バイオセラピューティクス、米国エモリー大学は、新型コロナウイルスが世界保健機関(WHO)によって「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」とされている限り、同契約に基づくモルヌピラビル販売に伴うロイヤルティーを受け取らないとしている。

中国国内においては、国家薬品監督管理局が2021年12月8日、騰盛華創医薬技術(北京)が申請していた新型コロナウイルス中和抗体治療薬の注射液2種「BRII-196」と「BRII-198」を、中国当局としては初めて新型コロナ治療薬として緊急承認していた(2021年12月17日記事参照)。

また、上海君実生物医薬科技は、中国科学院上海薬物研究所、旺山旺水生物医薬などが共同開発した新型コロナ経口治療薬VV116について、旺山旺水生物医薬と共同で、中国および世界での臨床試験開発・商業化を進めている。中国の中央電視台(CCTVの報道)の報道によると、ウズベキスタンでは2021年12月30日にVV116の緊急使用が承認された。

(注1)医薬品特許プールは国連が支援する公衆衛生団体で、低・中所得国における医薬品へのアクセス向上のため、各種医薬品(抗HIV薬、結核治療薬など)について、特許権保有者と契約を結ぶことにより、医薬品のライセンスや知的財産をプールし、後発医薬品の製造・開発を支援している。

(注2)対象となる105カ国の内訳は、MPPのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(趙薇)

(中国)

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