インシュアテックのベターフライ(Betterfly)、チリで3社目のユニコーン企業に

(チリ)

サンティアゴ発

2022年02月14日

チリのインシュアテック(InsurTech)のスタートアップ、ベターフライ(Betterfly)は2月1日、新たに1億2,500万ドルの資金調達を完了したと発表した。これにより同社の企業価値は10億ドルを超え、アプリを通じた買物代行サービスを提供するコーナーショップ(Cornershop)、フードテック系スタートアップのノット・カンパニー(NotCo)に続く3社目のチリ発のユニコーン企業となった。2021年6月に行われた資金調達ラウンドでは、ソフトバンクグループからの出資を受けたことで、同グループによるチリ発スタートアップ向けの初の投資事例としても話題を集めた。

Betterflyのビジネスモデルは、新感覚の福利厚生として機能するものだ。雇用主が利用料金を負担することで、個々の労働者がBetterflyの提供するデジタルプラットフォームを無料で利用することができる。同プラットフォーム内では、生命保険への加入、栄養管理に関するコンサルテーション、24時間体制の遠隔医療サービスの受診、フィットネスやマインドフルネスのサービスなどが利用可能なほか、自身が行った運動や健康増進のための活動内容を記録することができる。記録されたそれらの活動は、内容に応じて仮想通貨ベターコインズ(BetterCoins)へ変換される。ユーザーは、BetterCoinsを貧困層への食糧供給や、砂漠地帯への植林などの社会貢献活動に利用することが可能で、個々人の健康管理が大規模な社会貢献へつながり得る仕掛けが施されている。

2022年2月1日付の同社のプレスリリースによれば、今後は調達した資金を利用して、現在事業を展開しているチリとブラジルに加えて、2022年にメキシコ、コロンビア、アルゼンチン、ペルー、エクアドル、パナマ、コスタリカの7カ国、翌2023年には米国、ポルトガル、スペインの3カ国でオペレーションを開始する予定となっている。加えて、新サービスの立ち上げやパートナーシップの締結によって継続的に事業を拡大し、社会貢献に主眼を置いたビジネスで世界を牽引していくという展望が示されている。

(岡戸美澪)

(チリ)

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