ロシア政府・中銀、金融市場の安定化に着手

(ロシア、米国、EU、ウクライナ)

モスクワ発

2022年02月24日

ロシア政府は、欧米を含む各国からの対ロ経済制裁措置に対し、国内の混乱を避けるための対応策を打ち出している。中央銀行は2月22日、金融機関に対してa.2月18日時点の市場価格で株式および債券の価値を報告すること、また信用保証機関に対して、b.2月18日時点の為替レートを使用することを許可した。いずれもドネツク、ルガンスク両「人民共和国」の国家承認に関連した、金融市場におけるボラティリティの急激な上昇への対策で、2022年10月1日まで措置(2022年2月24日記事参照)。

また、経済制裁の1つとして米国からロシア国債などの流通制限が発表された(2022年2月24日付記事参照)ことを受け、ロシア財務省は2月23日、財務省が発行する国債(OFZ)のオークションの実施見直しの可能性について言及した。国庫には十分な財政的余裕があり、市場が落ち着くまで様子をみるとの姿勢だ。ライファゼン銀行アナリストのスタニスラフ・ムラショフ氏は、セカンダリーマーケット(注)でのロシア国債の購入制限があっても、「(新規発行がなければ、買い替えのために古いものを売却する必要もないため)投資家はロシア国債を売却する必要性はない。結果的に大幅な落ち込みを防ぐだろう」と予測している(ビジネス誌「フォーブス」2月23日)。

(注)既に発行された有価証券(株式や債券など)が、投資家の間で売買される市場。

(菱川奈津子)

(ロシア、米国、EU、ウクライナ)

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