ボルソナーロ大統領が訪ロ、農業やエネルギー分野などで協力

(ブラジル、ロシア、ウクライナ)

サンパウロ発

2022年02月24日

ブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領は2月16日、ロシアのウラジミル・プーチン大統領とモスクワで会談を行った。両者は共同声明を発表し、農業、エネルギー、環境、防衛、教育、科学技術、教育、文化の分野で協力することを確認した。緊迫するウクライナ情勢について、具体的な言及はなかった。

共同声明では、農業分野において、ロシアからブラジル向けに肥料の供給力を高め、アグリビジネス分野での協力の必要性が強調されている。2月4日には、大豆の一大生産拠点であるマットグロッソドスル州政府は、ロシアの肥料大手アクロンが、ブラジルの国営石油会社ペトロブラスが保有する建設未完の窒素肥料工場を購入することで話をまとめ、肥料の原料となる尿素やアンモニアの現地製造を目指すと発表していた(注1)。本件は首脳会談が行われる以前から決まっていたものだが、2国間のアグリビジネス協力事例になる可能性がある。

ブラジル経済省貿易統計(COMEXSTAT)のデータによれば、2021年のブラジルの対ロシア輸入額は56億9,876万ドルで国別6位。輸入品目は上位3品目が「肥料関連(HSコード3104、3105、3102)」で、その輸入額は合計で35億3,128万ドル(ロシア輸入額全体の62%)。同品目の輸入合計額では、ロシアがブラジルにとって最大の輸入相手国だ。ブラジル全国肥料普及協会(ANDA)のデータをみると、2021年(1~11月)にブラジル市場へ投入された肥料は4,254万トン。国内生産は633万トンにとどまり、ブラジル市場へ投入された肥料の85%を海外からの輸入に頼っている。そのため、ブラジル全国農業連合(CNA)は「農業概観第40号(2021年12月)」で、世界的な海上輸送コストの上昇や現地通貨レアルの対ドルレート下落などを肥料の調達コスト増の課題として挙げている。

エネルギー分野では、共同声明の中で、海洋での石油・ガス採掘、水素エネルギーや原子力エネルギーに関する対話を深化させる意向が示された。2022年2月16日付の現地紙「グローボ」は、ベント・アルブケルケ鉱山エネルギー相が、ブラジル原子力発電公社エレトロニュークリアが持つアングラ原子力発電所3号機を完成させるため、ロシア国営原子力会社ロスアトムが同発電所の運転コンソーシアムに加わる可能性に言及したと報じた。エレトロニュークリアは2021年9月20日にロスアトムとの覚書に署名している。覚書によれば、今後、ロスアトムがさまざまな規模の原子力発電所の建設を行い、保守分野でも協力の意向を確認していた(注2)。

(注1)マットグロッソドスル州トレスラゴアス市に所在するペトロブラスが保有する窒素肥料工場は、2011年に建設が始まったが、2014年に81%が完成した段階で工事が中断されている。完成すれば、アンモニアを3,600トン/日、尿素を2,200トン/日のペースで生産する見通し。ただ、売却に関しては、ペトロブラスからの正式発表はない。

(注2)エネルギー調査公社(EPE)によれば、ブラジルの電力マトリクスは、水力が65.2%、バイオマス9.1%、風力8.8%、太陽光1.7%など、再生可能エネルギーが大部分を占めている。原子力は2.2%。

(古木勇生)

(ブラジル、ロシア、ウクライナ)

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